森山知己ロゴ
12/3//2017  材料技法

日本画再発見ワークショップ 徳島県立近代美術館

■ 徳島県立近代美術館で行われている「廣島晃甫 回顧展 近代日本画のもう一つの可能性」に付帯する催しとして、「日本画再発見ワークショップ」を行ってきました(11月25日(土・午後)、26日(日・全日))。こうした試みとしては珍しい2日連続のワークショップです。乾燥の工程などあって1日では出来ない制作体験、二日目の作業終了後には会場で実際に廣島晃甫作品を鑑賞(材料・技法解説付き)しました。さて、参加者の皆さん、ワークショップ体験前と後では何かが変わって見えたでしょうか。楽しんでいただけたとしたら幸いです。

bin120301.jpg

 展覧会案内でも書きましたが、徳島県立近代美術館で1997年に開催された<近代日本画への道程「日本画」の19世紀>で、カギカッコ付きの日本画、問題提起は行われました。そして2002年の <自然を見つめる作家たち「現代日本の自然表現と伝統」>では、テーマとしての自然、また自然との関係の作り方を問いました。2007年の<日本画-和紙の魅力を探る>では、素材としての和紙に注目することで継続すること、地域との関係などに目を向けることになったのです。2012年の<墨と紙が生み出す美の世界>展では、墨、再び広く東洋に目を向けることになりました。徳島県立近代美術館が行ってきた「日本画とは何か」を問う展覧会の数々。そして2017年の今年、地元徳島出身の作家、この廣島晃甫の展覧会で問うのは何か。

「日本画」は、定義できないから「無い」とすでにその存在について問うことを消費したかに見える都市部での流れ。一方この徳島で手がかりを求め、「日本画」を定義するべく具体的な姿・形を求めてきた20年に渡る研究の姿。

 
bin120302.jpg

 2日連続での開催、当時の日本画制作の全工程のうち4から5工程程度は体験できるのではないかとワークショップの計画を立てました。日本画の体験で問題になる乾燥の工程。水を使う以上、どうしても何も出来ない、ただ待つだけの時間が生まれてしまいます。今回はそれを恐れず実施可能。その時間にも別のもう一体験、欲張りな企画としました。

 もちろん相互に関係していることは言うまでもありません。「何故」を大切に、筆など道具の使い方、修練が必要なこと、身体の変化、その勘所となるのは何かを試してもらいました。

 
bin120303.jpg

 毛筆に求められた価値の在り方、またその使い方としての運筆。もちろん刷毛も同様です。絵具の使用における気を付けねばならない点、美意識の在り方など、実際に触れ、使用、作業の中で感じていただけたとしたら幸いです。

 訓練によって変化する身体。長く関わることが意味を持つ世界との出会い。参加者の皆さん、記憶に残る体験、刺激になったでしょうか。

 廣島晃甫の輝かしいデビューとその後の活躍の姿。しかしそれらも新しいことを次々に求める社会、時の流れのなかに埋もれ、沈んでしまうことはしょうが無いことかもわかりません。しかし、それでも誇れる作家としてこのように顕彰、回顧展を開いてくれる郷土があることの素晴らしさを思います。

 ワークショップ体験を終わって、皆で作品を観覧しました。

見えてくるものが変わったでしょうか?あらたな鑑賞体験になっていればよいのですが。
参加者の皆さん、徳島県立近代美術館のスタッフの皆さんありがとうございました。