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2/23//2018  材料技法

アートとテクノロジー

■ 天神山文化プラザの企画展「表装」の記録集が出来上がってきました。作品集については既に目にされた方もおられると思いますが、記録集ならではの内容が沢山詰まったものとなりました。和紙などの素材も、そして表装の技術もそのおりおりのテクノロジーの現れた姿にほかなりません。

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3年ぶりに開いていただく岡山天満屋個展のメイン、「緋鯉図屏風」です。

金箔はいつも(4号)と異なり3号色(いつものより金の含有量が多く、すこし赤みの強いものです)。

鯉の部分には金箔を貼っていません。それ以外の箇所は下塗りの後、平押ししています。

さて、描いた鯉の形、動き、頭のなかで3次元空間を想定しながら描きました。さながら昔はまったまさしく3DCGのようなイメージの構築です。

 
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カタログ、DM作成のために絵をスタジオで写真撮影しているおり、箔の存在をどのようにとらえるかという話の中で、ふと昔を思い出したのでした。

一曲づつ撮影を行いました。というのもまだ屏風にはなっておらず、仮張りのパネルで制作していたからです(撮影後、屏風へ加工するべく表具屋さんに運ばれました)。

 
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特に今回は、箔を使用した作品が多く、撮影にそのあたりが大きく反映されたのです。

これからDMで、また図録でご覧になったおり、会場で実物との比較をされたおり、皆様どのように感じられることやら。

また日本的な構図ということも考えていますが・・・はたしてこちらもどのような感想をいただけることやら。

 
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奈義町現代美術館で出品した「龍門鯉魚図」も含め都合4枚の鯉を出品します。

紙本金地に緋鯉、屏風と額装の2枚。絹本水墨の鯉魚図2枚です。

この国の絵画を考える時、リアリズムというよりは、記憶の絵画ということをより強く思うようになりました。

 
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表現と材料の関係も、VRとかこれほど言われるようになると、物質性の意味がより大きくなるように思います。

箔は金属のそれとなったり、貼り付けた支持体そのもののように振る舞ったり。このあたりも面白いところです。

絹の裏打ち、裏彩色も然り、色になったり素材自体の面白さになったり。


STEM サイエンス、テクノロジ、エンジニアリング、マセマティックス。論理性と合理性に基づくそれぞれ。答えを共有し易い存在です。同時に正解が導きやすい。AIが導入しやすい部分かもわかりません。

上記にA アートを加えて STEAM とか。

アートにどのように意味をあたえるのか。今後、より魅力的なキーになる存在であることは確かなようです。そのおり、工芸とか伝統とか、手がかりが多く関係するこの国の文化のようにも思います。

 
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画像は別件、今年の夏に行う企画の準備作業の様子です。

現在のテクノロジとアート。まさしくのわかりやすい組み合わせです。

 
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動きも、音も、映像も、空間も。生身の人間もかかわります。インタラクティブな要素も組み込めるかも。

振り幅の大きい今日このごろです。