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3/3//2019  材料技法

板絵 制作作業その1

■  これまでにも支持体として木材に描いたことはありましたが、大きさ、また数ともにこれまでとは比べ物にならない量、大きさに対応するべく実験を行っています。
参考:倉敷不洗観音寺客殿襖絵制作(板戸)
http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/image/2003/051601/index.html
 
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まずは支持体の準備、鉋のかかり具合、表面の状態を確かめながら慎重にドーサ引きを行いました。表面、裏面、同じように引きます。滲み止めの効果とともに脂止めも期待してのことです。
スケッチなどを参考に下図を作り、写し取ります。念紙などを使う折は、力がかかりすぎれば板の表面を傷つけます。木炭等で当たりをつけ、あとは墨によって一度で直接描き出すほうが良いかもしれません。

 
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墨、毛筆により骨描き、線を描きます。木目の向きも考慮する必要があります。

使用している板材には2種類あり、表面の杉材は変わらないのですが、1枚板のものと、裏に合板を補強として張り合わせたものです。

ドーサ引き、合板を張り合わせたものは、必然的に効果が変わります。見るところ、合板は杉板の収縮に対して反対の方向への力が強いためか、表面に亀裂を生んでしまうようです。
対して一枚板の場合は、収縮のバランスが良いのか亀裂にはいたらず、また反りも強調されないようです。

 
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「地塗り」を行います。黄土、胡粉、墨を混ぜ、膠を少し強めにした絵の具で墨の線を隠すように一様に塗ります。

 木目の凸凹を整え、膠分がこのあとに塗る絵の具をしっかりと受け止めてくれる土台となるのです。

 ここで用いた「地塗り」色については、より使用する杉材に近い色にする場合もあれば、今回のように一般的な色とすることもあります。

 
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「地塗り」が乾いたら、次は堀塗りで「下塗り」を行います。この段階において、「線」を気にすることなく面として塗る選択もあるように思います。その場合は、「仕上げ塗り」のおりに「彫り塗り」となります。

 「黄土の具」を用いた「地塗り」の効果については、線描きの墨色を柔らかくするためといった効果も期待されています。「下塗り」は、もちろん描こうとしている存在のボディーとなる抵抗感を期待してのものです。

 
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葉の「下塗り」は白緑です。茎など明るさが欲しいときは胡粉という選択もありますね。

もちろん、葉についてもこの段階で堀塗りにせず、面としてボディーとする選択もあるように思います。

 
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堀塗りで下塗りの作業を終えます。
着彩作業、第二段階の終了です。