森山知己ロゴ
4/21//2019  材料技法

「若冲に倣う」ワークショップ

■ 岡山県立美術館で開催された(会期は本日まで)<江戸の奇跡 明治の輝き日本絵画の200年>に関連したワークショップ「若冲に倣う」が4月13日に開催されました。今回は展覧会に展示されている若冲の水墨画を実際に倣ってそのまま描いてみようという試みでした。
 
bin042101.jpg

墨絵は、紙と水の関係そのもの、墨液がどのように紙に染み込み、滲んでいくかをコントロールする必要があります。スピードが求められます。安易に下絵をなぞって描くわけには行きません。

いわゆる臨画。隣にお手本を置いて、若冲が筆を動かしたであろう筆意を読み取り、筆の動き、またそのスピードを見つけ出して描くのです。

※中央下段の二枚は完成見本、画用紙で裏打ちを行っています。

 
bin042102.jpg

まずは、実際に目の前で実演して見せました。

結果物にそれほど大きな違いが認められないなら、大きな間違いはなさそうです。ただし、筆のコントロールについては修練が必要な事は言うまでもありません。

 
bin042103.jpg

墨の準備、菊の花の描き方、筆の動かし方、描く順序。お手本から読み取れる筆の順序、時間を想像しての作業です。

筆の動かし方一つ、ほんの僅かな違いで、結果が異なった姿になったりします。
墨液の濃度コントロールも重要です。どうしても結果を早く求めてしまうのです。つい実際より濃く描いてしまいがちになるのです。

 
bin042104.jpg

それぞれが集中した作業を行っています。

「菊図」が完成したら、乾燥させる間にと「鳳凰図」にチャレンジします。こちらは墨液の量がとても多く必要なことなど解説しました。

最後は描いた「菊図」を画用紙で裏打ちしました。裏打ちされることでコントラストが上がり、薄墨が現れてきます。昔の絵画、特に水墨における裏打ちの効果も体験してもらいました。

 

ワークショップが終わり、乾燥を待つ間、参加者は「江戸の奇跡 明治の輝き日本絵画の200年」会場に出かけ本物を鑑賞。

「今ままでとは違った気づきがたくさんあった」
「見る目が変わった」
「筆の動き、描く時間といったことを意識して見ることができた」

そんな感想を聞くことができました。
長生きしたら良いことがある。筆のコントロールは訓練の結果。学べば出来ることがちゃんとあるのです。

※使用画像は、岡山県立美術館:岡本学芸員、倉敷芸術科学大学:竹内さん撮影