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3/26//2020  材料技法

鏡の松制作 その6

■ 上塗り、仕上げの工程
 
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下塗り、描き込みが完了し、粒子の感じられる岩絵の具を一通り重ねて塗ることで深みを出すことができました。

これまで平置きで描いていましたが、ここで初めて立てかけて見ました。

切戸口が付く部分は、上に上げて確認できませんが、全体として想定通りに進んでいます。

ただし、竹の節間の部分の透明感が強すぎて、竹自体の実感が弱く感じたことから、粒子の大きさを少し小さくした絵の具を部分的に塗ることにしました。

またほとんど消えかけた骨描きの線ですが、硬さを表現する目的で、節間の両側を描き起こすことにします。
 

 
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節間の右側から明るい松葉緑青、若葉緑青を混ぜたものを竹の動きに沿って塗りました。

また両側に白緑と黄土を混ぜた絵の具に墨を加えて骨描きの線を描き起こしました。

また節の部分は上記、墨を加えた絵の具でニュアンスを出すような描き込みを行いました。このあと、再び胡粉で細部を描きたす予定です。

 
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上部に金の断ち落としを使って砂子を蒔きました。
画像の状態で、二度目を蒔いたところです。

一度目は少し荒目の砂子筒で蒔き、完全に乾燥したら余分な部分(板面に着いていない)を払い落としました。
次に、払い落とした細かくなった箔も加えて、二度目は少し細かいメッシュの砂子筒で行いました。

 
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角度を変えて撮影。

乾燥後、定着していない箔を払い落とし、再び砂子を蒔きます。
(この工程はこのあとも何度か行い、画面上でのバランスを見て完了とします。)

画面効果を考えながら粗密を作ります。

このあと、葉の描き起こし、節間の描写を深めること、節の仕上げ、枝の部分に明るい不透明絵の具でニュアンスをつけること、葉の描き起こし、そして最後にもう一度、粒子の感じられる少し荒い緑青を焼いてトーンを合わせ、葉、節間の仕上げのまとめを行う予定です。