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8/18//2020  材料技法

鏡の松制作 その19

■ 仕上げ その2
 
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松葉の描き起こし。粒子のある緑青を盛り上げるようにして松葉として描きます。幾度となく描いては、一段暗い絵の具を重ねてまとめ、再び描き重ねることで装飾性だけではない深みを狙っています。
 

 
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仕上がりが近くなってきたこともあり、松葉の塊と松葉の細部(一本づつ描く、描き方)の関係チェックのために描き始めてからずっと寝かしたままだったヒノキ板材を部分的に立て掛けて確認。存在感も含め計画通り進行しているようです。寝かした状態と立て掛けたのでは光線の具合が違い、思う以上に板の色を感じました。
 

 
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苔の周りに胡粉による点を打ちます。白緑青、草の汁による表現がこの作業によって明確な形となり装飾性に繋がります。(昔の方のアイデアを改めて尊敬です^^;)

 
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苔、松の幹表面、肌も描き込みました。
このままで・・・・と思いましたが、全体を見渡し、松葉の細部が少し目立ちすぎると思い、松葉を塊としてもう一段まとめる作業を行うことにしました。
 

 
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かなり粒子感のある松葉緑青を火で焼いて色相を変えています。手前が絵の具そのままの状態、右の皿、左の皿の順に酸化が進み緑が濃くなったことがわかると思います。

・・・・・と、いうわけで。完成までの作業を紹介しました。

今後はもう大量に絵の具を塗るということはありません。
我が家アトリエからの搬出まで、眺めては微調整を繰り返す予定です。
天神山に完成のtenjin9 能楽堂ホール。完成した板絵を運び込み、組み付けるまでにその場の空気・湿度に慣らす時間も確保されています。そして設置は施工に携わった宮大工さんが行います。