「はじまりのとき」天満屋3人展について
ここ吉備高原での生活も28年目となった。人生で一番長く暮らした場所である。約20年続いた東京での生活からここ吉備高原に住居、アトリエを設けるにあたっては、漠然と感じていた自分の後ろめたさを拭おうという思いもあったように思う。絵の中に現れてくる風景や植物、そして名前のない何か。それらは結果ではあったけれど、描くために必要な関係、必然をそれらと結ぶことができていたのかどうか。今思えば、描くモノはそのおりおりの自分を確かめるために必要な「形」姿だったように思う。自然の傍ら、その中にいだかれ、暮らすことによってそれらとの関係に必然と呼べる何かが生まれるのではないか。そんな期待からここでの生活を東京ではイメージしていたように思う。確かに、ある種の「あるべき姿」に対する感覚は、時を経て、より必然性をもって来たようにも感じられるが、一方で元からそうであったとも言えるように思う。縁あって大学という場に関わる機会を得て、約40歳違う若い人たちと何かを創作する場をともにしてきた。屏風制作もその一つである。私の「知りたい」という好奇心の現れとしての「ワクワク」する何かが若い二人とともに感じられる展覧会場となっていたら幸いです。
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