DRAKE R-8
1991年に、Drakeより発売された通新型受信機です
R-8シリーズ、最初のモデルです
SWL向けと言ったほうが良いかもしれません
R-7の後継ということでしょうが、アマチュア無線家向けにはあまり出回らなかったように思います
もっぱら興味は、受信機R-7ではなく、トランシーバ TR-7のほうに向いていました
0.1−30MHzを連続でカバーします
受信モードは、AM,CW,RTTY,LSB,USB,FM
世界をマーケットとしようとしていた様子が、電源部からも推察できます
AC入力電圧切替が容易にできる構造を有しています
1.90−110V
2.108−132V
3.18−220V
4.216−264V
そして外部DC入力
11−16V
オプションで、VHFコンバータ(35−55/108−174MHz)の用意があります
本体:334 x 134 x 330mm   約5.9Kg
AM同期検波や、プリアンプ、混信除去機能、ノイズ対応などオプションで用意するのではなく、必要と思われそうなものはすべて内臓してあります 
構成は、1975年発売のSSR-1と、似通ってみえる点もありまます
1st-IF:45MHz ここは、SSR-1と同じ
1st-OSCが今風で、SSR-1の1MHzの高調波をVCで選択してではなく、デジタル処理されています

AM,CW,RTTY,LSB,USBについて
2nd-IF:50KHz
いわゆるアップ・コンバージョンのダブル・スーパー・ヘテロダイン方式です
ここが455KHzでないところが、SSR-1と大きな違いで、PLLにより50KHzのIFに変換されています
その中で、PBT(パスバンドチューニング)、BFOの制御が行われています
選択度について
こちらは、Drakeお得意?の50KHzでの処理です
フィルタ部のLは固定で、CをCPUのコントロールで切り替える・・・切替方式はデジタルですが、処理はアナログです
帯域幅について
0.5/1.8/2.3/4/6KHzを選択できます
2-B以降、お馴染みのIF:50KHzでの処理です

FMモードについては、1st-IF:45MHzで処理されています(帯域幅12KHz)
このモードについては、シングル・スーパー・ヘテロダイン方式です
リアパネルの様子

オプションの追加、外部制御用などに向けた端子が用意されています
通電はOK、SSGの信号を入れると、受信はしているようですが、音が出ません
Vol最大でSSBモードでキャリアを受信すると、わずかに音が聞こえます
明らかに検波段以降に問題がありそうです
上基板をどけないと下基板が見えません
スピーカー部と上基板をどけて、まずAFパワー段を確認することに
ICそのものがすごい発熱、火傷しそうなくらい・・・
型番を確認後、手配しました
修理対応の詳細は、下段で
シャーシ上面を写したもの
上に見えている基板は、RF系

やっと修理完了という目の前で、トランスがレアショート
DC運用専用?、いっそACアダプタを内蔵?など考えましたが、トランスを手配しました
このおかげで、DC運用時の消費電力が分かりました
スタンバイ時:1A(正常かどうか?ですが、結構食ってる)
稼働時:1.5A
上面基板のアップです
フロント側からリア側を写しています
シャーシ底面を写したもの
CPU 制御系がメインです(左下半分を占めています)
シャーシ底面
リア側からフロント側を写しています

このようにシャーシ上面に2枚の基板
裏面に1枚の基板
そしてフロントパネルに1枚の基板で構成されています
供給電源電圧の切り替えは、ダイヤル風のコネクタの差し替えで行いますが、トランスのレアショートで飾りになってしまいました
左上の青/赤PUSH端子がDC入力端子
DC用ヒューズは2Aで、AC100V時は0.4A
IF部以降は、シャーシ上面の下側基板
内臓スピーカー部を外し、上側基板を持ち上げ、下側の基板が見えるように
すぐに気づいたのが、このAFアンプICのすごい発熱です
なんとなく周囲が黒ずんでいます
電源トランスをどけないと、下基板が持ち上がりません
上基板の配線はそのまま、下基板の配線(コネクタ)は外して、基板が持ち上がるように
コネクタ配線の行き先を失わないように注意です
壊れていたと思われる TDA2003
適当なヒートシンクがなかったので、ハトメを壊して外し、再利用することにしました

これが今回の修理のスタートとなりました
TDA2003を交換
発熱具合が多少緩やかになりましたが、発熱が大きいことに変化はありません
部品をチェックすると、このIC周辺の電解コンデンサが軒並みショート状態
AFアンプ出力コンデンサ2個を取り外した基板上の様子
基板が黒く炭化しています
その右に見える真っ黒なICが、次に怪しいとにらんだLF353N(TONE/NOTCH)です
焼けたせいか、製品表記も消えています
問題のあった不良コンデンサーを交換することで、TDA2003の異常な発熱は収まりました
少し音量が上がりましたが、それでも音量はまだ小さく、バリバリと大きなノイズが出ます
NOTCHとTONE調整の様子が変です
関係しているLF353N・・・この黒く焼けた?オペアンプに問題がありそうです
問題と思われるLF353Nを取り外して、そこにICソケットを取り付けました
この後、アナログSW-ICの異常も見つかりました
ショート状態で交換した電解コンデンサ
マイラーコンデンサは、絶縁不良状態
動作不良のLF353N
電解コンデンサと一緒に、やられた感がします
AFパワーIC、オペアンプに続き、アナログSW-ICが壊れていました
結構な?修理対応が必要でした
おまけは、電源トランスのレアショート
市販の12V2Aのトランスが、同じ取付穴サイズでした
7MHz帯で、40dbμVで、S9 100dbμVで、フルスケールにメーター調整をしました
真空管の時代から蓄積したノウハウと、最近のデジタル処理をうまく組み合わせた製品かなという印象です
プリアンプやアッテネータ、ノイズブランカ、同期検出器(AM時)などの機能を持ちます
SSB、CWに向けての混信除去については、パスバンドチューニング、ノッチフィルタ機能を持ちます
外部録音用にタイマやライン出力、外部制御用に232cポートの用意もあります
本シリーズが、我々が知っているDrakeとしては、最後の製品かもしれません
最終モデルR-8Bの生産終了は2005年ですから、15年近いロングセラーだったということになります
それから20年近く時間が経過していますから、構成部品の劣化などいろんなトラブル発生が起こり得ます
この度は、最後に電源トランスがレアショートしました

見た目は、無線機というよりオーディオ機器風です
受信機・・・受信感度ですが、
7MHz帯 モード:SSB  0.3μV入力で、S/N10db強とれています(ノーマル時)
聴感上のS/Nも良好です
2022.05  JA4FUQ

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