Heath-kit HW−32 HW-32A
60年代に販売された、モノバンド・シリーズで、もちろんキットです、記憶では1963年のQST誌に広告が載っていたと思います
当時の価格は、$120だったと思います
60年代後半から70年代始め、一生懸命?DXを追っかけていた頃、きっと軍関係者(軍人or軍属)かと思いますが、その赴任先からON−AIRしていた中に、結構な比率でこのユーザーがいたように思います
コンパクト(311x159x254mm 6.8Kg)なSSB専用トランシーバで、御覧のようにUSお得意の左右対称デザインです
本機は、20mバンド用のものですが、75mバンド用HW−12、40mバンド用HW−22と、3機種ありました
いずれもUSフォーンバンド用で、世界標準で使えるのは 14.2〜14.35MHzをカバーする、このHW−32だけかも

Heathkitとして、プリント基板を本格的に採用始めたのは、きっとこのシリーズからです
ここまでは、シャーシに真空管ソケット・・・でした
      参考 HR-20HX-20
ひとつの時代のターニングポイントとなった製品です

この後、マイナーチェンジが行われ、型式の最後に「A」がつく製品が登場
本シリーズではリアパネルに配されているマイク端子がフロント面に用意され、AF/RFボリュームが二重のボリュームとなりました
構成は、ハイフレIFのシングル・コンバージョンタイプ
具体的には、IFは、2.305MHz VFOは、1.618〜1.770MHz クリスタル・オシレータは、18.275MHzで、VFOとプリMixされたものによる、一発変換です
終段は、テレビ水平出力管(コンパクトロン)6GE5を2本使用し、入力200W(800V 0.25A)を得ています

外ケースから中身を取り出し、フロントパネルを外した状態です

日焼けの様子がよくわかるフロントパネルです(それ相応なお歳です)
メイン・ダイヤルも、PLの熱で変形が見られます

PCBボード1枚で構成という、これ以上のローコスト化はないような設計です
そのためでしょう、21MHz帯用のモデルはありません
大型の真空管2本が送信ファイナル管です
その上のGTソケットは、オプションの100KHzマーカー取り付けの場所です
下に見えるコイルが、タンクコイルで、終段同調はプレート側だけです

2.305MHz4ポール・クリスタル・フィルタが右下に見えます
その下に見えるクリスタルが、ヘテロダイン用の18.275MHのものです(いずれも、HC-6/U型)

ご覧のように、14球で構成されています
シャーシ下側

シンプルですが、非常によく考えられた構造・配置がとられています

上中ほどに見えるIFT風なものは、VFO発振コイル
仕切りの板についてる2つの物体は、いずれもボリュームで、フロントパネルからマイナスドライバを差し込んで調整できるようになっています
(VOXディレイと、Sメータゼロ点調整)
フロントパネル(裏)とメイン・ダイヤル
ダイヤルの左に見えるのがオリジナルのカーソルの刻印されたダイヤル窓カバー
本来両面テープのはずが、ビニルテープで止まっていました
PLの熱による変形や汚れがひどいので、t=1mmの透明塩ビ板をカットし、白のカッティング・シートの端っこを少しカットしたもので少々太いカーソルとしました
元々、読み取り精度は5KHz程度ですから気になりません!
両面テープできちんと四方を止めました
メイン・ダイヤルのPL発熱による変形だけは手が付けられません
よく見ると、このダイヤルに機種名が書かれています
シャーシに、フロントパネルを取り付けたところ
フロント側
リア側
電源は、HP-10という純正もあるようですが、SBシリーズなどと共通のはず
AC電源だと、HP-23など・・・一応調べてみなくては

左端の丸いコネクタがマイク入力端子です
ボリューム軸は、ファイナル・バイアス調整用


HP−23Bが手持ちにあるはずで、通電は少し落ち着いてから(そうだ、SB-102の面倒も見なくては!?)
その前に電気的なチェックをしなくてはいけませんね(いきなりの加電は、怖い!)
2019.09   JA4FUQ

HW-32Aを入手しました
その後のHWシリーズのデザイン初物です(ツマミ類を含めて)
その後の、Heath-kitの原点となったモノというか、時期だったものと想像します
このモデルではプリントですが、HW-100からは、モスグリーンの部分はプラスチックのエスカッションとなっています
マイク入力端子が、マイクゲインボリュームと一緒にフロントパネルに配置され、AF/RFゲインボリュームが2軸タイプになり、USB/LSBの切り替えが追加されているだけで、電気的な点はほとんど変化なさそうです
VOXゲインツマミはリアパネルに移動です
通電はOK、受信は感度が悪く、送信はできないという状態のものでした
電源は、手持ちのHP-23Aを使用しました
HP-23Bでは、ヒーターが点灯しませんでした(今回は、原因追及していません)
リアパネル
外部リニアの接続を意識したALC端子が出ています(HW-32にはありません)
VOX関係がリアに回りました
AC電源 HP-23Aと一緒に
先代の、HW-32と比べると、メリハリがついた顔つきになっています
Heathkitでは、このデザインがお気に召したようで、後のHWシリーズ・デザインの基本となっています
トラブルの大きな要因
この9Pソケットの接触不良
探したらステアタイト製の同等のものがあったので交換しました
オリジナルは、差し込んだら戻らないような反り返った爪がついているもので、取り外しには結構苦労しました
基板上で白いソケットが交換したものです
3つ・・・写真から分かります?
送受共通IF、マイクアンプ、リレーコントロールなどを受け持つ真空管です
当初、真空管の大きな劣化もないし??同調コイル・・・ドライバ段の前後、受信のRFアンプと兼用ですが、無調整となっているものをシールドケースを取り外して穴をあけ調整棒が差し込めるようにして、細かく調整しましたが送受とも20db位ゲインが足りません
送受兼用部分に特段の異常も見つかりません
ユルユルだった真空管ソケット・・・6EA8 2本と、12AT7 のソケットを交換しました
なにせ差込方のちょっとのことでヒーターが点灯しない・・・
ソケット交換後に再調整・・・あれあれ、ほぼほぼ正常な受信感度になってきました
???
送信もパワーアップ・・・電流は規定値と思われるくらい流れる(メーターIP目盛※なしで、おおよそ2/3強振れる)ようになりました
  ※IPメーターは、アイドリング値のマークがあるのみで電流値の記載なし
が、出力は40W強しか出ません
ロード側が固定Cでプレート同調のみですので、ロード側を調整すればパワーアップするかもしれませんし、終段管の劣化かもしれませんが、深追いをすることは止めました
結論からして、送受共通のIFアンプのソケット接触周りにゲイン低下の原因があったようです

受信感度:1μV入力時、S/N12db程度と、カタログ値はクリアしています
メインダイアル1回転100KHz弱ですから、14.20〜14.35MHzが1.5回転強でカバーできます
正確なチューニングには慎重さが必要ですが、バンドチェックはすぐ出来ます
2020.10    JA4FUQ 

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