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本機は、プリミックス方式を採用したシングル・コンバージョン方式の最初の製品かと思います
ローコスト化を目指す方法のひとつとして、採用したのではないかと思われます
5MHz台のIFと、9MHz前後のVFOを使用し、3.5MHz帯と14MHz帯においては、ヘテロダインクリスタルは不要としています
国産では、YAESU FT-200がこのプリミックス方式を国内最初に採用(本当は、泉工業 パロス22-TRでしょうが)、IFとVFOの周波数を反対に使用しています
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ローコスト化のもう一つは、VFOダイヤルのリードアウトで、本機は5KHzとしてあります(写真左上)
例えばですが、HeathKit HWシリーズと同じです
ダイヤルドライブ機構も、Collins、HeathKittと同じ、フリクションドライブ方式が採用されています
おおよそですが、ダイヤル1回転で25KHzです
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シャーシ上面 終段部のシールドを外して写しています
黒い部分は、VFO部
その右下に見える白い四角なものが5.2MHzクリスタル・フィルタです
メーターですがオリジナルではありません
前オーナーの手で交換されています(器用に取り付けられています、スケールも新たに印刷されたもの)
シャント抵抗が追加されています(念のため校正しました)
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サイドから、終段部のシールドを外して写しています
手前は、プリミックス部
見えているVCは、プレート同調用
ファイナルは、6JB6 パラです
黒く見えているところはVFO部 12BA6 1本です
その後ろ、シールド板の奥がドライブ管6GK6です |
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リアから右半分
一番手前は、受信AF段
その奥がIF段
別シャーシに収まっているのは、BM/TX-IFAmp部です
中央に5.2MHzクリスタルフィルタが見えます |
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シャーシ底面
前のオーナーの手で、電解コンデンサが追加されています
見えているVCですが、
右端:ドライブ調整
中央寄り下:ファイナル・ロード
です
ドライブシャフトは、ちゃんと絶縁材が使用されています
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本機ですが、一般的というか平均的な100Wのトランシーバです
機能を含め、シングル・コンバージョン方式を採用したシンプルな設計で、
送信ファイナルは、6JB6 2本 DRAKE T-4シリーズ、あるいは上位のNCX-5と同じです
また、受信は高一中二の標準的な構成です
受信TOP(ANTコイル)も、終段のπマッチを流用など、電気的なことに加え、構造も極めてシンプルに、すなわちリーズナブルにこさえてあります(ANT切替リレーもありません) 28MHz帯は、28.5〜29.1MHzをカバーするようになっています
ダイヤルスケールは、ほかに28.0〜28.6MHz、
そして29.1〜29.7MHzの目盛りが用意してあります
電源は、手持ちのNCX-5の純正、NCX-Aを使用しました
感度低下、あるいはバンドによる送信パワーの違いなど、前オーナーの改造も含め手元に来た時点では色々ありましたが、再調整など行った結果、
送信:各バンド100W前後
受信:0.5μV入力で、S/N10db前後
と、シンプルな設計ではありますが、基本的なところはきちんと押さえてある結果が得られました
多少送受信の同調ピークがずれているケースはありますが!
受信感度優先で調整を行えば、もう少し感度アップします
もちろん最近のマシンのように、混信あるいは近接信号に云々というような性能・能力は持ち合わせていません
ノイズブランカーやRIT機能もありませんし、CWフィルタ・オプションもなく、マーカー(100KHz)もオプションです
が、真空管マシンの特徴かもしれませんが、ノイズにイライラせずにボーッと安心して聞くことが出来ます!?
日本国内では、本機のような超シンプルというか割り切った実用設計のギアは、ほとんど見当たりません
ローコスト化を進める中で、プリミックス方式を採用したのは、本機が最初だったような気がします
1年後の1969年には、ファイナルが6LQ6 2本で、1100Vを印加し、入力500WPEPとした、NCX-500が発売されました
こちらには、±3KHzが可変できるRIT機能も追加されました(つまみが一つ増えています) |