Hallicrafters SR-2000 Hurricane
ハリクラフターズ社
戦前からの高名な無線機(受信機)メーカーでした 
社歴としては、1933年〜1975年の約40年間だったようです
ここにご紹介のSR-2000は、社歴の中でほぼ最後の時期に販売されていたトランシーバです
FPM-300というFT−101ライクな構成のトランシーバが、ハリクラフターズ社にとって、最後のハム用トランシーバだったかと思います(1972年〜1974年にかけて販売 $625)
FPM-300
FT−101風(意識したと思われます/FT-101は、1970年の発売)に、AC/DC電源を内蔵した、コンパクト・モデル
実際は、IF:9MHz シングル・コンバージョン・タイプ(FT-201ライク)です
ファイナル6KD6シングル(100W出力!250WPEPと)、ドライバ12BY7A その他は、半導体を採用というものです

さて、このSR-2000ですが、1965年〜1972年にかけて販売された管球式のトランシーバで、1967年の価格は、$1,095でした(同じ頃、Collins KWM-2は、$1,150)
当時、TOYOTAパブリカ・・・トヨタの歴史の中で唯一の空冷水平対向型エンジン(2気筒800cc)を搭載した大衆向け小型車が1000ドル・カーと広告されていました(35.9万円 $1=¥360固定レートの時代)
国民車「カローラ」登場より前の時代です(元祖国民車かも/パブリカ:発売は1961年で、その当時38.9万円)
当時、トヨタ店・トヨペット店に続く、第3の販売チャネルとして出来た「パブリカ店」は、後に「カローラ店」と名前を変えました
日本がそんな時代にUSで生まれ、ちょうど、この車と同じくらいの価格が付いたトランシーバです
SR-2000  この、SR-2000は、当時ニックネームで「ハリケーン」と呼ばれていました
 ひとつ下のパワーを持つSR-400(6HF5 x2ほか、バージョンによる)は、サイクロンと・・・SWAN同様、型式の数字は、おおよその入力パワーかと思われます
 たぶんですが、本機は一般市販品としては最高の出力(1KWPEP)をもつ、HFトランシーバでしょう
 SR-2000のファイナル電圧は、なんと2800Vです(8122/セラミック管パラレル)
 1960年代後半の生まれですが、ちゃんと完動します
 USから持ち帰ってこられた方からQSYしてもらって、頑張ってリストア/リメイクしました
 私の思い出ですが、DXに目覚めた頃(1969年頃)、ヨルダンのフセイン国王(JY1:お亡くなりになりました)が、このマシンを使ってオンエアされていたことを今でも覚えています(WatchのみでQSOには至らなかった、残念!)
 SX-117との組み合わせ・・・トランシーバー+受信機というのが使いやすかったですね(言うほどオンエアしていません、レストア最中はオンエアしてましたが、できあがるとやめてしまう悪い持病の持ち主なもので・・・)
SR-2000内部
SR-2000の上ブタを開けてみると・・・・
 アメリカ製品はシャーシからキャビネットまで全てアルミが採用されていて、50年以上たった今でも大変きれいですし、高周波的にも安定です
 2KW入力のファイナル・・・セラミックチューブ・パラレルの強制空冷のためのブロアが見えます(奥の黒い塊!)

 VFOの安定度では、SX−117に負けていましたが(多分、筐体内の温度変化が大きいため)、このマシンだけは、なぜか?手元に残しています(半分分解されたまま、廊下の片隅に置かれ、埃をかぶっています)
余談
その昔、入手した当時には使用できるところまで手を入れていた・・・VFO安定度の確保で言わば諦めた状態(当時は、X-Lock等無かった!)
近々、X-Lock組み込みほかによる「現役復帰」を目指します

余談U
高名なのは、SR-150、SR-400(A)あたりかと思われます

SRシリーズの基本設計について

■3.5〜14MHz帯3バンド・マシン(SR-160/500)
IF:5200KHz 8.7〜9.2MHzのVFOを組み合わせたシングル・コンバージョン・タイプ(7MHzについてはプリMixで対応)
受信は、一般的なRF1段、IF2段構成です

■3.5〜28MHz帯5バンド・マシン(SR-150/400(A)/2000)
IF:1650KHz 4350〜4850KHzのVFOを組み合わせた、コリンズ・タイプのダブル・コンバージョン
受信は、RF1段 IF3段構成(1stIF:6.0〜6.5MHz1段、2ndIF:1650KHz2段)、ちょっと気になるのは、フィルタの位置が2ndIF増幅段の間に入っていること・・・混信除去の観点からは、2ndIFの先頭に入って欲しいという気はしますが、なにかメリットがあってこのような設計になっているのでしょう(多分ですが、ノイズブランカの都合/狭帯域にしたくない事情から・・・SR-150には、NBは内蔵されていませんが!?)

共通
AGC/ALCともに増幅型を採用、その他は特記するような特徴はない一般的な設計かと思われます(RITは、早い時期の製品から内蔵、後期ではNBを内蔵)
各シリーズにおいて、送信パワーの違いはあっても、構成そのものの基本は同じようです(細かい点はともかく、送信ファイナル部が異なるだけ?)
2015.01 JA4FUQ

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