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1965年から69年にかけて販売されたとあります
入手したもののは、1970年のスタンプが押してあります
真空管20球で構成された、HFトランシーバです
どこの社を問わず、管球式最後のマシン、と言って良いかもしれません(真空管の時代は、60年代で終焉を迎えます)
hallicrafters社が手がけたアマチュア無線機としては、長い歴史を持つSRシリーズの最終に近い製品というように思います
1stIF:6.0〜6.5MHz 2ndIF:1650KHz(6ポール・クリスタル・フィルタ搭載) この時期ハリクラフターズ標準?のダブル・スーパー・ヘテロダイン(受信については、高1・中3)構成です
増幅型のAGC(RFとIF1段を対象)、ALC(IF1段を対象)を採用と、こちらもハリクラフターズの十八番です |
本体サイズ(単位mm) 幅381 高さ165 奥行き330 突起部含まず |
この後、SR-400A CycloneIII が登場します(1969年 僅か1年の販売で終売?)
ファイナル・チューブの変更(6KD6×2)で、入力550WPEPとなっています(ロゴマークの色が、赤から青へ?)
SRシリーズは、ここで終わったようで(SR-2000は、72年まで販売を継続したようです)、hallicraftersとして最後のアマチュア無線用トランシーバーとして発売されたのは、FPM-300だったと思います
FPM-300 |
FT−101風(意識したと思われます/FT-101は、1970年の発売)に、AC/DC電源を内蔵した、コンパクト・モデル
実際は、IF:9MHz シングル・コンバージョン・タイプ(FT-201ライク)です
ファイナル6KD6シングル(100W出力!250WPEPと)、ドライバ12BY7A その他は、半導体を採用というもので、1972年から74年くらいの間で販売されたようです
$595と、ままリーズナブルな金額が付いていました
余談ながら、FT-101E 74年頃、$649で広告されているのを見たような気がします |
この後、世界からhallicraftersという社は、消え去ってしまいました
1932年の創業、第二次大戦前/中には、HT-4/BC-610という送信機で高名を馳せたこの社、戦後は、ラジオ・テープレコーダー・テレビと、民生品を中心に社員数2500名を超えるまで大きくビジネスを展開したようですが、1970年代になると、民生品を含む電気製品全てにわたって、日本の製品がUSに押し寄せることになり、その結果、消え去ったということになります
余談ながら、SR-400の取説には、既にNorthrop社(航空機メーカー)の子会社であることが記されています |
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ケースを取り外した状態で、フロント側からの撮影です
独特の「顔」・・・アルミ・ダイキャストで作られたエスカッションが使われています
お金をかけています
シャーシからケースに至るまで、全てアルミ製です
USの方々は、左右対称デザインがお好きなようです
MICジャックですが、この際一般的な4Pのもの(MIC-4P)に交換しました(オリジナルは、アンフェノール 80-MC2M/HeathKit等で見られる2Pのもの) |
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リア側です
外部電源 PS-500A-ACとの接続は、お決まりの12P角形ジョンソン・コネクタです
アクセサリ・ソケット(外部VFO接続)は、YAESUが使っている11Pコネクタと同じものです
シャーシには、1970年5月21日のスタンプが押してあります |
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ケースを取り外した状態で上側を撮したもの
上部長四角なBOXは、VFOユニット
真空管は、右横に寝かせてあります
きっと、高さを抑えるためでしょう
クリスタル・フィルタは、右サイドにある調整ボリューム/サブ・シャーシの下に見えます
ファイナルは、6HF5が2本
プレートVCですが、タイト製ではなく、受信機用風なもののローター/ステーター間隔を広くとったものが採用されています
アルミ・シャーシの採用で、非常に綺麗な状態を保っています |
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ボトムの写真です
きちんとワイヤー・ハーネスが使用されています
ぱっと見、Collins風の配線・・・ですね
いろんな意味で、Collinsを意識していることを見て感じます
余談ながら、ファイナル・タンクコイルは、見るからに貧弱ですし、コイルまでプレートから長い距離を引っ張っていますし、周囲も狭く壁に囲まれています
TV水平出力管に、この配線って、どう???
また、気になるので(真空管2本のピン並列接続/ピン4本に対しパスコン1個の使用)、ファイナル・ソケット回りのパスコンを追加しました
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アマチュア・バンド専用とはいえ、ノイズ・ブランカ、RIT(クラリファイア)、ノッチ・フィルタ(ラティス型 SSB/CWいずれにも対応)、簡単なCWフィルタ(水晶1片のラティス型)など、KWM-2には無い機能を、標準で搭載しています
送信パワーも、SSB 400WPEP入力と、ハイパワーです
これらからして、あのKWM-2に向かって対抗心溢れる製品ではないかと考えられます
1969年の73_magazineには、電源別の本体価格で、SR-400は、$800 KWM-2は、$1,150で広告されていました(1$=¥360の時代)
余談ながら、Drake TR-4は、$600でした |
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メカのクリーニングを行った後、電源関係に問題が生じていないかどうかチェックをしたうえで、通電してみました
いきなり発振しています(受信動作はしている!)
発振元は、どうやら送信ファイナル・・・
プレート同調を思い切り離調させると止まります
この状態で、SSG信号を受けるときちんと感度は取れています
そのまま、IFの調整をしました
見るからにファイナル・チューブがくたびれています
試しに送信してみると、パワーはいくらか出ています(20W位)
2本の動作もバラバラ(片方だけプレートが赤くなります)、アイドリング状態でIPが大きく変化します
浅めのバイアス電圧になっていますし、中和も思いっきりずれています
これらが影響して発振をしていたと思われます(競合なんとか!)
6HF5・・・SWAN-500の予備を意識して入手していた新品(NOS)と交換しました
PS背面と本体フロント面、その両方に、バイアス調整ボリュームが用意されてます
と言うことは、結構な頻度で調整が必要か??
指定のアイドリング電流にするには、元の状態よりかなりバイアス電圧を深く調整する必要がありました
真空管の交換により、7/14MHz帯においては、150W程度の出力が得られるようになりました
変にアイドリング電流の表示が変化します
ドライバ間のカップリング・コンデンサ? ファイナル管のカソード抵抗の劣化? メーター・アンプの不具合? 等々考えられますが、色々チェックをしたところ、どこかの時点での改造・・・メーター・アンプのバイアス回路に後付けされた半固定ボリュームに原因がありました(要は、見た目の問題だけだった)
必要を感じませんので取り去りました! |
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少し仕事を残したような気もしますが、最後にスペック・チェックです
送信 3.5MHz帯 160W程度
7MHz〜21MHz帯 180W程度
プレートVCに、減速機構はないのでシビア!
Ep750V × 0.4A前後ならこんなものかな?
28MHz帯 50〜70W程度
先に記したように、ファイナル・タンクコイル回りは、はっきり言って貧弱です
3.5/28MHz帯のパワーが少ない原因になっているかも知れません
パワー不足について
決定的な問題と言うより経年変化/劣化っぽい(分かりづらい状況)
なんとなくですが、全体的にゲイン不足に感じられますが、ここで追求中止です
後述しますが、キャリア・サプレッションもイマイチですが、打ち止めにします
(パワー優先よりキャリア・サプレッション優先で、キャリアレベルを下げました)
スペックにおいては、PEP200W出力で
21MHz/28MHz帯では、出力は若干下がるとの記載あります
受信 スペックにおいては、1μV入力で S/N20db以上とあります
14MHz帯においては、S/N 26dbくらいあります
14MHz帯 0.2 μV入力で S/N10db+ と、かなりの感度です
SR-2000ほどの筐体内の温度変化がないのか、今の季節で裸でテストしているせいなのか、
QRHは、意外と感じません
非常に静かに受信することが出来ます(真空管式の良いところでしょうか)
40μVでS9に調整したSメータの振れも、良い感じ・・・私の感性に合っている!です
当時の音ですが、長時間聞いて疲れるような音色ではありません
しばらくこのまま使ってみようかという気にもなります
こと、受信に関しては、何も問題はありません
細かい点・・・そこはUSスタイルで、誰も問題にしないのでしょうが、
ダイヤル周波数表示校正のための「CAL」ボリュームと、RIT(クラリファイア)のボリュームが同じ
ひとつの系統となっています
何が起きるかというとRIT(クラリファイア)の零点が、「CAL」ボリュームの位置で、僅かながら変化します
自身の送信周波数の上下±2KHzが、メインダイヤルを動かさずに可変(受信)出来れば
いい・・・と言うことで、センターが常に一定である必要はないのでしょう |
■何となく、送信でゲイン不足!?
3.5MHz帯において、試しにドライブ段間コイルのQダンプ抵抗を外すと、ばっちり180W近く出力が得られましたので、そのままOKとしました
真空管(ファイナル・ドライバ以外)の劣化? 部品の劣化? 28MHz帯においてはパワーが出ません
キャリア・レベルをぎりぎり持ち上げれば100W強は出ますが・・・ |
修理の痕跡などありますので、そのあたりもきちんと対応していきます(部品の劣化が進んでいるところがあるし、意味不明な改造も・・・)
真空管の使い方については、KWM−2ほどの無理な使い方はしてありません(SGに高い電圧をかけていません)
真空管の劣化については、あまり意識しなくても良いのかも知れません
■PS-500A-AC 外付け電源装置
どうでも良いことかも知れませんが、このPS底に取り付いている足がきゃしゃ・・・・ゴム製では、自身の重さに押しつぶされてしまいます(現実、筐体の水平が保てていませんでした)
同じ高さのものを探して、樹脂製の足に交換しました
PS内部ですが、電解コンデンサは全て国産のものに交換、あるいは並列に追加してありました
劣化の始まりは、電解コンデンサと言うことの理解のある方が前オーナーのようです
キャリア・サプレッションの悪さと、マイク・アンプの発するノイズが、少し気になります
ダイオード4本のリング変調方式(現状は2本方式)に変更しようかなぁと思いながら、思っただけで止めました
マイク入力配線のワンポイント・アースなど気配りしてみましたが、大きな改善には結びつきませんでした
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実は、兄貴分のSR-2000 Hurricane を有しています
こちらは1965年の発売から1972年まで販売が続いたようです
入手した時点で、電源トランス(200V/230Vセンタータップ付き)を特注してまで、一度はON-AIRできるところまで整備を行っていたのですが、そのまま放置して20年近くになります
AGC(復調音)、あるいはVFOのドリフトなど、ちょっと気になったところに手を入れかかったところでの放置、です(ホコリを被っています)
今であるなら、DBM検波に、X-Lockの組み込みで終わってしまいそうなお話です
この再生の前に、ついこのSR-400を手に入れてしまいました
SR-2000においては、外部電源がとても重たいし、高圧2800Vは、怖い・・・こちらは、クラス相応の750Vです
そうは言っても、折角手元にあるので、どこかでは手をつけないと、とは常々思っています |