TRIO KENWOOD TS-900

本モデルは、USモデル TS-900 です
ブランドも TRIO ではなく KENWOOD となっています
パネルの色合いについて、国内モデルより明るいシルバー・トーンです
こちらは、1973年に発売された当時TRIOのフラッグシップモデルです
JR-599/TX-599、TS-520が同じ時期の製品です
国内では、3モデル
6146B 1本の 10Wモデル(公称入力20W) TS-900X  ¥235,000
6146B 2本の 100Wモデル(公称入力160W) TS-900D  ¥240,000
そして
4X150A 1本の 100Wモデル(公称入力240W) TS-900S  ¥266,000
USでは、このTS-900Sと同等のパワーをリーズナブルに得ようと、TV水平出力管 6LQ6 2本のモデル 公称入力300WPEPとして、多分ですがHenryRadio社から発売されていました
都合、世間には4モデルが存在します
大きな特徴は、メインダイヤル・・・カーソルは、1本しかありません
キャリアはひとつで、フィルタを切り替える方式の採用です
多分ですが、国内では本機が最初の採用のように思います
後日、Uniden2020NEC CQ-201等に採用されました(海外にはDrake TR-4等、諸先輩がいます)
HeathKitやCollinsでは、VFOの周波数をシフトさせることで、読み取りカーソルをひとつとしています
現在は、デジタル処理でカーソル一本は当たり前のことになっています
本機は、USモデルです
終段管は、6LQ6パラです
本モデルは、SSB 300WPEP、CWは、200W  FSKは、100W入力と、いう仕様です
この内容は、TS-900Sとニアリー・イコールです

国内では、圧倒的に4X150ファイナルのTS-900Sの人気が高いようですが、扱いはセラミック管よりテレビ球のほうが楽かもしれませんね
余談ですが、6LQ6パラは、国内ではTS-511Sで採用されていました
本体背面
多分、国内仕様TS-900Dと同じだと思います
もしかしたら、TS-900Xとも・・・Xも冷却ファン実装だったような気がします
シャーシ上面
全てユニット方式で、調整先が分かるように記したカバーがかかっています
このカバーですが、金属製です
シャーシ上面
各カバーを取り外して写しています
ご覧のように、ユニット化されています

海外モデルは一般に、フルオプションのケースが多いのですが、本機のCWフィルタについては、国内D/X同様にオプション扱いです(「S」には標準実装)
YJ-3395Cで、YG-3395Cではありません
シャーシ底面
ケースから取り出した様子です
送信ファイナル部は、左上角です
TS-900Sであれば、ここにシロッコファンが見えます

入手に苦労した接点不良を起こしたリレーも見えます
VFO底面中央後ろにVRが見えます こちらも本機の特徴の一つ
1st-IFのチューンを、VFOの周波数によってきちんととるためのVCT(Voltage Controlled Tuning)と名がついた回路の周波数検知用VRです(VFOの位置を見ている)
VFOの周波数表示ダイヤルの軸にVRが取り付く形です
一般には、BPF構造で5〜600KHz巾をカバーさせていますが、きちんと同調を取ることで、受信では混変調特性、送信ではスプリアス特性の改善に功を奏します
ここをVCで、同じ動作をさせているFR-101 このページ真ん中やや下あたりでご紹介しています
RF系のチューンは、ご覧のようにベベルギアを使って90度ひねってVCが用意されています
左から 
ドライバ・コイル
アンテナ・コイル
ミキサー・コイル
です
チェーンは、終段のLOAD調整VC駆動用です
中軸は、PLATE調整VC駆動用です(同軸構造)
RFユニットに、スライドSWがあります
ドライバ 6GK6の中和を取る際に、SG電源をOFFするためのものです
ドライバ管にも中和がとってある・・・です
外部電源 PSー900 の背面です
追加(改造)されたアウトレットは無視しました(どこにもつながっていない)
入手時には、ちょっと不思議なトランス一次側配線だったので、オリジナルに忠実に戻しました
そして、国内に合わせてAC100V対応としました
切替SWで、AC200V対応も可能です
国内仕様では、この切替SWはありません
余談ですが、パイオニア製φ100のスピーカーが入っていました(カーステレオ用のフルレンジ)
オリジナルかどうかは?です
やはり経年変化に伴う問題
SW類の接触不良、VRのガリなど生じることは仕方ありません
今回一番の問題は、リレー接点の接触不良でした
少々のクリーニングでは解決しないので、交換できそうなリレーを物色し、なんとか互換品を入手できたことで解決です
その他は、一般的なクリーニングでパスできました
参考スペック
14.100MHzにて実測
受信:S/N10dbが得られる信号入力 0.1μV
送信:130W程度  プレート電流は、メーター表示で、ちょうど300mAでした

受信ですが、ずいぶんとS/Nが良く、0.1μVの信号ON/OFFで、S/N10dbが得られました
送信は、メータースケールから想像して400mA位はプレート電流が流れるのではないか・・・球に劣化があるようです
ALCは、それなりにメーターが振れています(ドライブはできていると思われます)
予備となる6LQ6は持っていますので、どこかで交換して様子を見てみましょう
改めてこうしてみると、アナログ時代の最後を飾るべく(当時、当事者がそう思ったかどうかは?)凝った設計をしたマシン・・・・そんな印象です
その一方で、実戦機としては、TS-830あたりがアナログ最強モデルという気がします

TS-511は、ハイブリッドモデルで、終段・ドライバ管以外全て半導体化されたのは、TRIOにあっては本機が最初のように思います
手元のTRIO資料では
TS-511Sの発売は、1971年4月
TS-900の発売は、1973年5月
TS-520の発売は、1973年9月となっています
2023.08  JA4FUQ

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