YAESU FR-101 Deluxe
YAESU最後のセパレートタイプの受信機です
1974年の発売で、FT-101Eシリーズの発売時期と近かったと思います
YAESU FT-101の登場は、1970年です
本機は、アナログダイヤル表示のDeluxeタイプで、フルオプションの受信機です
当時¥148,000だったと思います
相方に、FL-101という送信機がありました


相方のFL-101、SP-101とセットで
無線機らしいデザイン・・・TRIOデザインとは一線を画します(好き嫌いはそれぞれ)

1.8MHzから30MHzまで、アマチュアバンド、短波放送帯、CB帯など、21バンドで対応、加えて50.0〜52.0MHz、144.0MHz〜146.0MHzをカバーします
ベースは、コリンズ方式のダブルスーパーヘテロダインを採用
第一IFは、6020KHz〜5520KHz、VFOは、8700KHz〜9200KHzを発振、第二IFは、3180KHzです
50・144MHz帯に関しては、28.0〜30.0MHzを第一IFとするトリプルコンバージョンになります
受信モードは、SSB、CW、AM、FMとオールモードに対応
筐体サイズ、重量は 340W x 153H X 281D 9Kg
使用電源については、電源ケーブルの差し替えにより、AC100V DC13.5Vの両方に対応します
オプション設定の多いStandardは、本機とは別物くらいの「差」があります

こちらは、リアパネルの様子です

VHFコンバータ2つを内蔵しますので、ANT接栓は3個すべて有効です
左から144MHz帯
50MHz帯
そして右端が、HF用接栓です

電源は、ACケーブルが差し込まれています
シンプルなリアパネルです
こちらが、下(底面)の様子です

シールド板に囲われていてるところはVFO部
ユニット化により、ゆったりした配置に見えます
シャーシ上面を撮したものです
右上にVHFコンバータ基板が見えます
右端が144MHz帯用
その左が、50MHz帯を28MHz帯に落とすコンバータです
その左は、AF/マーカーユニットで、その左にフィルタが見える基板はFMユニットです

RF同調は、101シリーズ共通のμ同調機構の採用です
結果、ゼネカバ受信と考えると少々使い勝手が悪い…後述します
クリスタルフィルタについて
3つ重なって見えるもの
上から、SSB用、AM用、一番下はCW用です
下段中央に見えるものがFM用です

FM受信にあっては、一般に455KHzにもう一段階変換して検波する例が多いですが、本機はFMも第2IF 3180KHzのまま検波です(FMユニットには、3180KHzのFM用クリスタルフィルが装備されています)
シャーシ上面を角度を変えて撮したものです
シャーシ上面を角度を変えて撮したものです
さすが専用受信機
第一IFである、6020KHz〜5520KHzについて、VFOダイヤルに連動した同調VCを持つバンドパスフィルタを構成しています
VFO右横に見えるVCがそのものです
その右に見えるのが第一IF基板(ここはベークライト製の基板ではない)
この動作を電子化した例
TS-900 こちらのVCT(Voltage Controlled Tuning)と名がついた機能が同じ目的のものです
21バンドを切替るバンドスイッチ
よくぞこんな多接点のSWを作ったと正直思います

赤字(読みずらい)がアマチュアバンドで白字がそれ以外
プリセレクタも赤字と白地に別れた指示をします
正直、使いづらい・・・です
ここでは、波長表示ですが、バンドSWに連動して表示するメインダイヤルの上部にある横長の表示板は、下段でご紹介のように周波数表示です
このメインダイヤル上部の表示板にあっては、周波数表示となっています

本機は、初期モデルの後期(ボタンSWが四角から丸になった直後)ではないかと思います
が、非常に保存状態の良いものでした
スペックについても、ほぼ満足しています
ちょっと気になるのは、マーカー信号が弱い・・・・聞こえなくはありませんが
下段に性能をチェックした結果を記しますが、FMに関しては、専用のものに比べると少々低感度です
通常、−15〜−20dbμVでSQは開きます


BAND(MHz) CW/SSB
RF信号のON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
AM
30%変調のON/OFFで
S/N10dbが得られる信号強度
FM
SQオープン時の
信号強度
3.6 0.2μV 1.2μV  
7.1 0.2μV 1.2μV  
14.1 0.2μV 1.4μV  
21.1 0.2μV 1.0μV  
28.6 0.2μV 1.0μV  
50.1 0.2μV −10dbμV
144.1 0.25μV −10dbμV


受信機として
きちんと第一IFでVFO連動でチューンを取っているところ以外、特筆することはありません
後期モデルにあっては、VFO-Lockボタンが追加され(本モデルでも、そのボタン位置と思われるところは、クリア保護シートに穴が開いています)、VHFが2MHzカバーから4MHzカバー・・・すなわちバンドSWの接点が倍になっています(6L/6H、2L/2Hに)
このシリーズにあっては、プリント基板が一部を除き安価なベークライト素材というのが残念です
FT-101が、ガラスエポキシ採用なのに・・・
余談ですが、本シリーズの設計には、元STARのエンジニアが関与?・・・VFOダイヤル機構、第一IFのVFO連動チューンなどみると、フトそんな気もします(9MHzIF・プリミックスタイプでシングルコンバージョンのFT-200/201も)

この時代にあっては、それまでのコスト優先で送受兼用設計のトランシーバだからセパレート機より劣るというようなことは無くなってきています
そんな時代背景のなかでの発売だったのかも、です
この後、周波数表示がデジタル化された製品が発売されましたが、本シリーズがYAESU最後(業界的にも最後かも)のセパレート・シリーズとなりました
2023.05   JA4FUQ

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