ドキュメント 時代と刺し違えた画家 中村正義の生涯
著者の笹木繁男さんは、個人で現代美術資料センターを主宰され、銀座の画廊界隈、また美術作家、美術館の学芸員なら知らぬ人はモグリといっても良いぐらいの方です。 画廊街に足しげく通い、展覧会に顔を出し、そして展覧会の案内DM、カタログ、ポスターなど捨てられてしまいそうな存在にも目を向け、資料収集、詳細な作家ファイルを作られて来た方です。 すでに資料の多くは東京文化財研究所に寄贈されたそうですが、作家の資料収集でお世話になった学芸員も多いと聞きます。作家も同様、あるときはコレクターとして、またあるときは貴重な示唆を与えてくださる方として、かくいう私も色々な形で励まされ、応援していただいた一人なのです。
中村正義の作品の一部も資料として掲載されています。作品の代表的な変化の様子、大きな流れも概観出来る様に集められています。
その年の主な出来事、画家、作家との交流、開催展覧会、その評、証言、画家の諸作物、日記、お金の出入り、ニュース、証言者の言葉。関係する団体のそのおりおりの姿、賞を受けた作家名、作品の落札価格などが特記事項として加えられ、総合年譜としてまとめられています。作家の置かれた状況、社会変化の具体的な事実資料を基にその実像に迫り、明らかにしようと試みられた編集です。
自家出版のため一般書店では扱っていません。銀座で直接購入出来る画廊、郵送での購入方法、問い合わせ先などの情報は紹介文と共に下リンクのPDFファイルにあります。「アートタレント」などという言葉も聞く今日この頃、芸術とは何か?アートとは何か?人とは何か?、他人との関係も含め、多くの問いにどのように対峙するのか?一人の画家の生涯を詳細に辿るこの記録から伝えられる何かがあるような気がします。
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