和意谷 岡山県備前市吉永町
「和意谷」と聞いて、岡山藩主池田家の墓所とすっと答えることが出来る人は、岡山県生まれ、育ったとしても、そうたくさんはいないと思います。すでに10年近く昔の話となった取材当時、かくいう私も答えられませんでした。 吉備悠久の取材でご一緒する紀田順一郎さんが取材先としてここ岡山の地域、場所をリサーチする中で独自に興味を持たれた場所なのです。 私もこうした機会を作っていただけなければ、きっと訪れることも無かった場所のように思います。観光とは無縁、本当の深山幽谷。 取材当日、数キロの山道を歩いて回りましたが、その間出会う人は誰一人としてなく、木々の葉がこすれ合う音、葉が地面に落ちた音にドキリとするそんな道行だったことを思い出します。 車を停め、木々によるアーチの下を歩き山を登るうち、ふと、山から出る時には、自分の周りを流れる時間が変わっていたりしてと、不安になり、来た道を振り返った瞬間。 タイムトンネルを思わす坂道。
歩いて回るうち、思う以上の規模に驚きました。点在する古墳のような姿をした墓。「一のお山」から「五のお山」、辺り一帯すべてが墓所なのです。 秋の日差しに古墳様の盛土、誰かが伸びた雑草を刈り払ったのだろう揃った長さの緑。特徴的な亀型の台石、墓石。
犬島で切りだされ運ばれたという大きな石。 竹林がどんどん大きくなり、山を自然の姿に戻していきます。 奈良で出会った亀石や何に使われたか巨石の存在を思い出しました。
ここで紹介している画像は、作家・紀田順一郎さんとの共著『吉備悠久』(山陽新聞社刊、2006)に収録されたものです。紀田順一郎さんの「 和意谷(岡山県備前市吉永町)」は、以下リンクよりどうぞ。http://plus.harenet.ne.jp/~kida/topcontents/news/2012/102801/index.html
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