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8/14//2013  材料技法

HOTサンダルプロジェクト2013 ワークショップ

■ 香川県丸亀市、瀬戸内の島を舞台に行われているHOTサンダルプロジェクト2013 ワークショップに講師として参加して来ました。

※HOTサンダルプロジェクトとは:東京の美術大学生約30名(多摩美術大学、武蔵野美術大学、女子美術大学)が瀬戸内海に浮かぶ本島、広島、小手島、手島といった塩飽諸島のそれぞれに長期(約一ヶ月)滞在し、島の方々と交流しながら自然の中で暮らし、制作を行う体験プログラムです。私が担当したワークショプは、そのほんの三日間での出来事です。
プロジェクト実行委員会、丸亀市文化観光課のみなさん、島の皆さん、昨年度の参加者もオブザーバー、お手伝いとして多く参加されていました。

フェリー、船上より見た本島
>> フェリー、船上より見た本島 (45.38KB)

思えば昨年、間島(間島秀徳氏)さんがFacebookにupしていた画像に興味を持ったことが始まりでした。瀬戸内の島に滞在しているとか、瀬戸内の島影を背景として海の中に入った間島さんの姿が印象的だったのです。
ネットで調べてみると香川県の本島、広島などに東京の美術大学生が長期滞在して制作しているのだとか。ほぼ一ヶ月という滞在期間の長さに素直に「面白そうな企画だな〜!」と思ったのです。

短期であれば、どうしても観光旅行、通り過ぎていくという感覚が強くなりますが、一ヶ月となると流石にちょっと変わってきます。自然の中で暮らす感覚、都会の若い方々がどのような反応、感覚をしめすのか?好奇心に駆られたのです。
同時に現在の私の山での生活、中山間地でも島と同様の過疎化を感じている身としては、地域の活性化に向けた施策として、このプロジェクトが「人の心」を繋ぐ興味深い試みに感じたのです。

興味を持っていた所に、間島さんから今年の講師の打診。当然!ワクワク、面白がって引き受けたのは言うまでもありません。

 
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さて、私がまず担当したワークショップは、地域の方々と東京からの参加者を繋ぐ出会いのワークショップでした。本島と、広島(瀬戸内に浮かぶ島の名前です)、それぞれで島民と学生が一緒に「何か」を行うワークショップです。

まず考えたのは、私が子供の頃、島に行った体験、記憶からの発想でした。

小学生時代の記憶。船で島に渡り海岸、砂浜に出ると、いろいろな形、色、綺麗な貝殻やウニの殻、海の波に洗われ、カドが取れて丸くなった色とりどりのガラス片、何かの殻、骨。干からびたタツノオトシゴなど、、、拾い集めたそれぞれ。

島の皆さんと学生、島を歩き、ビーチまで。案内してもらいながら、話しながら、一緒にワクワク何かを探して歩くふれあいの時間。
緑の葉っぱも、流木も、小石も拾います。

 
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それらを海岸の砂浜で一緒に石膏で固めて石にしてしまおう!。<記憶の化石を作ろう>という企画が出来上がりました。

緑の葉っぱは文字通り、時がすぎれば朽ちてそのシルエット、痕跡だけが石膏に残ります。まるで化石のように。題して「島の記憶化石」

しかし、サンプルを作って眺めていると、これは・・・・・ケーキのようにも見えて来ました。ならば・・・タイトルは、

「”島ケーキ”ワークショップ」

学生、島の方々、記憶を固めるワークショップとしました。(本当に大切なのは、島の人と一緒に歩き話す時間、海辺での作業時間だったのですが、、、、この暑さ、日光の強さを考え、実施では体育館内での作業となりました)

 
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出来上がった「島ケーキ」。皆で囲んで自作のプレゼン、自己紹介が始まりました。

作業的には、石膏が凝固する時間を稼いでいるには違いないのですが、それぞれの制作物、話、顔が繋がります。

 
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島の人も、学生も、にこやかな時間となりました。

 
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地域のキャラクターを制作の参加者も!

一日目は本島で、二日目は、場所を広島に移して行われました。

 
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一日目の成果です。

 
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なかなか素敵な作品となりました。

このほか、HOTサンダルプロジェクトのタイトル板も作成されていたようです。

 
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三日目のワークショップは学生さんを対象にした
「墨と筆のそもそも」

昔と殆ど変わらない瀬戸内の自然、島の暮らし。時間の流れ。
墨と画仙紙(花蓮箋)を使った水墨ワークショップです。墨のこと、筆のこと、運筆について、膠について・・・・最後は扇面によるトリミングについて。

楽しんでもらえていたら嬉しい限り。

画像は作業の前の腹ごしらえ。これだけの学生さんが参加です。

 
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というわけで、集中した皆さんの様子。
「おゆまる」によるハンコ作りももちろん実施!。皆さん、楽しんで作っていました。

酷暑の中、集中の熱気もタダ事ではありません。
そのままにしていたらいつまでも続きそうなこの空気。最後は残念ながら、無理やり終了となりました。

最後は、おまけ?筆のこと、日本画についてなど、紅白梅図屏風の描法再現に関わった映像資料、作業の様子などをプロジェクターを使って解説。こちらも楽しんでいただけていたら嬉しい限りです。


 
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4日目:私が参加するのもこの日まで。参加者皆で島から四国丸亀へ、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の大竹伸朗展を見に行きました。

画像は美術館の中田学芸員のお話を拝聴している所。

 
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最後の画像は広島を離れて丸亀に帰る船上よりの夕日です。
 
学生さんたちは、8月の末まで滞在を続け、制作するそうです。また後日、丸亀市の生涯学習センターで、〜未来への収穫祭〜と名付けられた作品発表会も予定されています。島ケーキ他、水墨作品、それぞれの制作、たくさん展示予定だそうです。

はたして私の行ったワークショップ。
参加者皆さんの記憶に残る「何か」になっていれば幸いです。

サポートする丸亀市役所文化観光課の皆さん、暑い中、本当にお疲れ様でした。
お世話くださった実行委員会正木会長も本当にありがとうございました。
お手伝いの昨年度参加者の皆さんも素敵でした。



素敵な体験となりました。ありがとうございました。

※2013年8月31日追記
未来の収穫祭 HOTサンダルプロジェクト 2013
制作された作品発表会です。
http://kibikougen.blogspot.jp/2013/08/hot_31.html