Webに記事をアップしようと当時の資料を取り出して、しばらく唖然としてしまいました。取材からすでに１４年が過ぎてしまっていたのです。

　１９９９年に始まった「吉備悠久」というこの企画。東京からここ吉備高原に越してきた私と、仕事場を新たに構えられた紀田順一郎さんの組み合わせで、地域再発見を外からの目でという企画意図だったように思います。

　新聞見開き片面を全て使い、メインとなる場所、モノ、コトをたっぷりの紀田先生の文章と私の絵で綴る紀行スタイルでした。

　今回紹介している「長福寺」の取材を行ったのは、１９９９年、いわゆる世紀末でした。連載をはじめて四カ所目、岡山生まれとは言っても、それまでに岡山のことを興味をもって調べてた経験があったわけでも無く、取材を通して初めて訪れた場所でした。
　

　私が担当するのは本画一枚とカット二枚。印象に残った場所、風景。モノ。

　次に何処、何を取り上げるかについては、紀田先生が歴史など調べ、絵柄としての季節感を加味して決定しました。

　山の緑に映える朱塗りの三重塔。鎌倉時代の建物だとか。

　カットには遠望、そして近隣の様子を加えました。お寺の塔は、まさしくランドマーク。
　山道を車で巡る取材、車の運転もままならぬ頃でした。

　連載は１０年を越えて続き、トータルで６０箇所以上の場所を訪ねることが出来ました。岡山暮らしをしてはいても、ここまで廻る事はなかなか無いとは、熱心な読者の方の言葉です。

　まさしくその通り、素晴らしい機会をいただきました。取材途中での紀田先生との会話も印象深く思い出されます。その折々の時事、流行りモノ、文化。今更ながら贅沢な時間、悠久の時を感じる取材でした。
　

※ここで紹介している画像は、作家・紀田順一郎さんとの共著『吉備悠久』(山陽新聞社刊、2006)に収録されたものです。
以下URLは、紀田順一郎さんの「長福寺（岡山県美作市）」記事への直リンクです。　是非御覧ください。（以下をクリックすると、紀田先生の記事が表示されます）
http://plus.harenet.ne.jp/~kida/topcontents/news/2014/030201/index.html