岡山の膠作りワークショップ・2014 その2
第二回目となる今回の素材は、先に告知していましたように「ヌートリア」でした。 当日の参加者処理分として準備していた原料皮を開催直前に狸に盗られるなど、アクシデントもあり、はたして参加者の方々が満足してくださるようなワークショップとなるのかと危惧したのですが、開催一週間前になって鹿皮が手に入ったり、また実施当日に持ち込みのウサギ皮があり、参加者はそれに触れたり、見ることが出来たりと、予想外の展開も生まれた第二回目となりました。(画像は、この山中にお集まり下さった皆さん)
もちろん昨年同様、猪の皮も用意されていました。 今回は<水漬け法>による事前準備もあって、高圧洗浄機の水流によって表面の毛を洗い流す事が可能ということも確認できました。 実際に原料として、鹿皮と同時に処理して比較することが出来ました。ヌートリアと鹿は感覚的に近く、猪皮の厚さ、突出したボリューム感を改めて確認出来ました。
地元ケーブルテレビ局も取材に来てくださいました。作業は鹿皮の毛を処理しているところです。 手すり一番奥に掛けられているのは、猪皮です。獣の皮に実際に触る体験。怖さもありますが、この経験が次に繋がる何かになってくれればと思います。昨年に続いて今年も参加したメンバーは、処理法の違い、原料皮の違いをきっと実感出来たことと思います。
実際に自分で作業を行う体験。原材料の違い、行程を実際に自ら行うことで生まれるアイデアもあります。実際にいくつかのアイデアが出されました。
50名を超える参加者がありました。 今年は、広島市立大学から大勢で参加してくださいました。> 広島市立大学鍋!が作られました。吉備国際大学からの参加が今年もあり、同様に吉備国際大学文化財学科鍋も作られました。煮出し行程は大学に帰ってからです。ヌートリアを原料とした膠、そして鹿皮を原料とした膠がそれぞれの大学で作成される予定です。
昨年に続いて日本画研究会の学芸員の方々、日本画を描いている大人の方々も参加してくださいました。 画像は膠の違い、墨の違いを実際に試してみる体験。墨運堂さんに作ってもらった猪膠墨と清の時代の松煙墨、日本の古い油煙墨を実際に試して比べてみました。加えて、昨年につづいてくん炭製造過程で出来るカーボンを使った墨作り体験の様子です。
猪膠の問題点の確認。また研究報告も行われました。鹿が何故、原材料として使われてきたかも実際に触ることによってわかった事もあったと思います。さて、2つの大学の皆さんは、どんな膠をつくり上げることが出来るでしょうか?。また教えて下さいね。
画像はおまけ、ウサギの皮です。とうとう時間が足りませんでした。 ヌートリアの皮、うさぎの皮、パーチメント(厳密には違いますが・・・)の原材料として試してみるなんてアイデアも出ました。 鹿の皮が案外薄く、原材料として考えると小さいと思われたヌートリアも資源として十分競争できるかも?なんてこともわかった今回です。 銀箔の硫黄燻蒸による硫化実験なども行われました。集まった方々のそれぞれの交流、情報交換。楽しんでいただけたとしたら幸いです。差し入れ、持ち込み、お手伝い、今年も大勢の方々に助けていただきました。この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。 ※注意!動物を捕獲する、また皮を処理したり、加工すること、それぞれに関連する法律が存在します。今回の試みも、免許をもった猟師さんから捕獲された動物の皮をいただき、あくまで実験・研究として作業を行っています。実施においては、近隣に迷惑をかけないような配慮も重要な事です。注意してください。^^(3月22日追記)
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