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3/21//2014  材料技法

岡山の膠作りワークショップ・2014 その3

■ ワークショップに大勢で参加してくださった広島市立大学の皆さん、代表者の大庭さんから製作途中の様子や完成した膠の画像が送られてきました。
 
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今年は、広島市立大学鍋が試みられました。
煮出す前工程までをこちらで行い、その後の作業は広島に持ち帰ってとなりました。
乾燥の様子です
 
※画像は広島市立大学の大庭さんによるものです

 
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乾燥が進み、収縮した様子です。

腐らさず、うまく乾燥が進んでいる様子がわかります。

大庭さんから、
< 乾燥後はほとんど臭いがありませんが、湿潤時はものすごい獣臭が室内に
漂っていました。>というコメントをもらいました。

猪は、もっと凄かったです。

膠を作る工程で出る匂い、人里離れた山の中でこのような作業を行う一つの理由です。生皮、皮の処理をすること、気持ち悪いという感想もあると思います。今日、和膠を作り続けることを難しくした原因の一つとなっているのかも分かりません。

 
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完成したヌートリア膠 1煎目抽出によるものです。

※(大庭さんの感想)乾燥後。想像以上に縮小し、厚みもなくなりました。
膠が網に張り付いてしまったので、粉砕する形になってしまいました。
乾燥前、折角気を使って形を切り出したのに残念。

 
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※(大庭さん)7グラム抽出できました。

現在売られている膠と比較して、強いのか弱いのか、また性質はどうなのか?今後が楽しみです。

参加者の方々は、膠づくりの工程を体験して気づかれていると思います。
こうした乾燥に伴う工程・作業は、膠の長期保存に関する試みにほかなりません。
 
私達が使ってきた膠、手に入る膠が乾燥した状態であった、もしくはあるから当たり前のようにそのように加工しているに過ぎません。(防腐剤の入った液体膠もありますが・・)



原料皮から煮だした液体こそ、実は膠液そのものです。それも飛び切りフレッシュな!!!
 
どのような濃度まで煮詰めて使うか?については、それぞれの使用方法によると思いますが、冷凍、冷蔵技術が発達した現在なら、原料の確保さえ可能となれば、理屈上は、だれでもがこうした膠作りを行うことが可能です(匂いの問題がありますが・・)。

煮だす工程も、個人使用ということを考えれば、一度に扱う量も少なく、電気ポット(自動で温度管理出来ますよね!)を使うことが可能です(実際にこのような形で実験ピース作成が試みられています)。

このように考えてくると、誰にでもおすすめできる方法とは言えないまでも、フレッシュな膠を手に入れ、使用する方法として、

1:後は煮出すだけに処理された原料皮を膠原料として真空パック
2:煮出し、ゼリー状に固め、真空パック


今日ならでは・・・そんな膠の流通も、もしかしたら可能なのかもわからないと思うのです

広島市立大学、また吉備国際大学の皆さんの今後の情報が楽しみです。大庭さん、情報をありがとうございました。

※注意!動物を捕獲する、また皮を処理したり、加工すること、それぞれに関連する法律が存在します。今回の試みも、免許をもった猟師さんから捕獲された動物の皮をいただき、あくまで実験・研究として作業を行っています。実施においては、近隣に迷惑をかけないような配慮も重要な事です。注意してください。^^(3月22日追記)