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10/2//2015  材料技法

自然を生み出す

■ 先日「自然を創りだす(9/4//2015  材料技法)」と題してアップした記事、私自身としては、近頃考えていることが、ある程度分かり易くまとまったのではないかと思っていたのですが、旧くからの友人より、いままでで一番わかりにくかったとのコメントをもらってしまいました。私自身が重要なポイントと思っていることでも有り、すこし言葉を変えて「自然を生み出す」として、もう一度言語化することを試みたいと思います。
 
資料を追加した基本的な日本画制作の工程紹介 画像は本文と関係ありません。
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自然に触れたおり、魅力を感じたり、惹かれる何かの存在があります。絵に描き残したい思い、喜びや怒り、悲しみといった感情が働くことがあるかもわかりません。

身の回りにある自然を題材として描くおり、その姿を写し取ろうとします。何に感じたのか、それを自ら確認するように。

 

心地よく思える砂浜のスムーズな姿、良い、好ましいと感じることが出来たその何かを生み出した自然。結果としての姿をそのまま真似るのではなく、その「出来上がり方」「生まれる過程」を真似る、その成り立ち方を材料としたり、技法として行う。だからこそ出来上がったものは「新たに生み出されたそれ」になる。

波の引いたあとのあの砂浜の姿がどのようにして生まれるのか?
水が干上がったあとの湖底、水たまりの跡、きめ細かいなめらかな姿がどのようにして生まれるのか?

二本の筆を使った「片暈し、隈取」の作業、そして「たらし込み」
地面に染みこむ水、
水の中でそれぞれの比重、大きさをもった粒が物理の法則にしたがって沈む
そして乾いていく時間

「筆という柔らかいもの」新たな自然を生み出すための繊細



雨の力、水の力、風、温度変化、気の遠くなるほどの長い時間、岩や石が崩れ、細かになっていく砂に、土に。
水に流され溜まり、沈む。自然の精製の過程を経た姿。
作られた粘土が、火山や火事、ある時は隕石の衝突に寄る熱によって固く、また石のような存在になる。
そうして出来上がった何かに「美」を見つけた

生まれ出る過程を真似るからこそ、作られたものは、新たな自然となる 生まれる
「陶芸」にも同様の世界が存在することを思う

日本画は工芸的と呼ばれることがある
何が工芸的なのか

ネガティブな意味としてではなく、より積極的な意味として工芸との類似性を捉えることが出来るのでは無いか・・・・・そんな事を思う。

人が生み出すもの 自由の獲得 はたして何もかもから離れることが出来るのか、離れて良いのか・・・・・・。何を守るべきルールとするのか、自然の成り立ちをルールに取り込む試みと考えると、今日的な意味で面白いと思ったりする。

形についてや、線については、またそのうちに。