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12/3//2015  材料技法

三千本膠 京上膠

■ 膠の製造を姫路で行っていた清恵商店さんが2011年にその製造を止め、これで三千本ニカワが市場から消えてしまうと当時話題になりました。このことは結果的に変わらずに流通している工業的に作られた別のニカワでは何故ダメなのか?、また三千本膠、和ニカワと呼ばれる存在の何が良かったのか?を問うことに繋がりました。

 ここ岡山で実際に猪や、鹿、ヌートリアといった動物の皮から和ニカワと呼べるような膠を作る実験を行いました。出来上がった膠によりプロ(墨運堂さん)の手で墨を実際に作っていただいてわかったことも多々有り、また縁をいただいた大阪大学のタンパク質を専門に研究されている先生の助言もあって、和膠を使用する絵画としての日本画について自分なりに理解が進んだようにも思います。

 昨年より姫路にひと月に一度通うようになり、新たな出会いがありました。今回、清恵商店さんが作られた三千本膠のデッドストックを、幸運にも手に入れることができたのです。
 
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三千本の形状をした4種類(1煎目〜4煎の違いか?)それぞれが詰まった段ボール箱を購入・譲り受けました。

 箱は封をされており、当時(2011年頃)のままのように見えました。

 開くとカビが出た状態のものものありました。

 

 
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それぞれ色合いは違うものの透明度は高く、澄んだ色合いをしています。

昔あった飴状のもの(すこし泡が混入している感じ、堅い)。
均質な飴、感じのもの。

少し柔らかく、ワインゼリーを固めた感じのもの。
同様で少し、色が薄いモノ。

酢の臭がしました。

 
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カビが強く出たものは取り去りました。

残ったものの内、白く浮いたカビ状の点々を拭き取り、日光と風に当てました。

 
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より透明度を感じさせる姿となりました。

風に当てたことで段ボール箱から取り出した時に比べ、ずいぶん締まった(乾燥した)ように思います。

 
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処理したあと、乾燥をさせている状態の膠です。

京上膠も少しですが手に入れることが出来ました。すでに知っている幅広の形で、グレーがかったものとは異なり、この画像の膠と同じ色です。

このあと、100gごと小分けにし、それぞれ新聞紙で包んで保存出来るようにしました。
また私個人用としては多すぎる量のため、岡山で日本画を学んでいる方々にお願いして少しずつ引き受けてもらいました。

私が購入した所には、まだデッドストックの箱はあるようです。ただし、私が見たわけではありません。中身(どの色合い、どの段階のものか・・・)の状態は開けてみるまでわからない様子でした。紹介したこの色の京上膠は、我が家までお持ち下さったおり、ある程度まだあったように見受けました。

このサイトをご覧の方で、この件に関して興味のある方は私宛メールいただければ、購入先を紹介することは出来ます。ただし、希望のものを購入することが可能かどうかは保証出来ません。
 

 
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※偶然のように残っていたものですので量は限られていますが、もし研究・展示資料等として少量希望の場合についてはご相談ください。