古筆細見 そのこころと技 関口研二著
芸術新聞社の「墨」に連載されていた「古筆細見」が、一冊にまとめられました。新たに加えらた序文や後記は、作者曰く自身の気持ちにより近い言葉となったそうです。 より自身の気持ちにちかいという後記「あとがき」には、美術ファンなら知らない人はいない、高村光太郎や安田靫彦の言葉に触れて、「文字」であることをひとつの手がかりとしつつもその描く(書く)「用筆・運筆」の中にある面白さを説いています。 これまでも「筆」が作り出す世界、「和紙」との関係など、以前からこのサイト内で紹介してきましたが、この関口さんの言葉、示唆によって道具、またその用法にただ絵を描くだけではたどり着けなかったこの国の絵画、「日本画」についてのある種の価値の見つけ方への道標をいただいたように感じています。 まして今回の著作では、よりダイレクトに文字の形、意味を脇においてもなお見るべき存在について触れられています。私自身が(この国の)絵画において今感じていることにもつながるように思うのです。 <はじめに>に書かれた「小刻みな筆の動き」についての一文、まさしくと思うところ。私自身もそんなところに絵の面白さを見つけている気がする今日このごろなのです。シンプルであること、昔と変わらない道具、材料、描き方だからこそ見易い(比較しやすい)こともあるのです。風神雷神、同じモチーフを時を超えて描くこと。同じことをすれば違いだけが見えてくる。そんな楽しみ方もあるのです。 2009年に出版された「古筆の流れ」に次ぐ書籍です。以下リンクは当サイト内、「古筆の流れ」内容の紹介です。http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/newcon/news/2009/101301/index.html
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