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3/8//2009  「無い」から始める日本画講座

使用する画材の説明 その2

■ 今回の講座で用意いただく画材それぞれについての説明です。購入、用意する時の手がかりにしてください。

個人が用意する材料とその用途他 説明その2

No

名前

数量

備考

8.

9.

10.

11.

 

筆・刷毛

参考:


1本

2本

1本

1本

絵を描くことに使うことのできる筆・刷毛の種類は、とにかくたくさんあります。経験を重ねるにつれて、自ずと自分にあった目的・必要に応じたそれぞれを選び出し、使用するようになると思いますが、今回の講座では、基本を学ぶプロセスそれぞれの段階で使うと思われる代表的なものを選びました。すでに経験を積まれている方もいらっしゃると思いますが、筆や刷毛が目的に応じて改良され発展してきたことを知る機会になればと思います。

すでにお持ちの道具をお使いになってもかまいません。

8.面相筆 線を描きます。絵の具を塗り分ける境になる線、形を表す線、「骨描き」を行います。

選択のための一例をあげると、白玉面相は玉という字からわかるとおり、猫の毛が主原料だそうです。左画像のものはイタチの毛から作られています。線を描くときの墨の含み、持ち具合、曲線、直線を自由に引けるかどうかなど、毛の質、毛の長さが関わります。

※線を引く筆の基本は柔らかい毛のもの。上達するにつれ柔らかい毛を使いこなして自由な線を描けるようになりますが、初心者のうちは堅い、腰のある毛の筆を使うと描くのが楽かもわかりません。

9.即妙筆 線を描いたり、色を塗ったり、暈かしたりする際に使います。線を描くのにも色を塗るのにも使える基本形のような筆です。柔らかい毛の感覚、含ませる水分量がつかめると片暈かしなどの技法が巧くいくようになるでしょう。

10.平筆 筆をそのまま引いて使ったり、90度回して使って見たり、調子をつけるのに使います。

11.刷毛 いわゆる「絵の具刷毛」です。大きな面積を塗るのに使います。毛の持っている腰をどのように使うかが勘所になります。画像のものは、質のよい羊毛を使っています。より腰を求める絵の具、金泥など用に夏毛の刷毛もあります。

※、精度のよい仕事のためには、良い毛を使った造りのよい刷毛、筆を選ぶことが基本になります。ただし、価格もそれに準じますので、予算の許す範囲で、なるべく良い物を選んでください。

※ ドーサ刷毛について 今回は、講座共用のものを用意します。各自が揃える場合は、ドーサを塗る刷毛を絵の具用と共用すると、絵の具のおりが非常に悪くなります。それ専用の刷毛を確保してください。


※この他、連筆(片歯、平など)暈かし、空刷毛、筆も彩色、削用、付立筆、面相もいろいろ選ぶことができます。

 

12.

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三千本膠

参考:にかわについて


1包

膠(にかわ)は古くから使われている接着剤です。エジプトの壁画なども膠を使って描かれていたとか。接着剤としての分類で考えて、膠絵と呼ぶ場合もあります。

魚の煮付けを冷蔵庫で一晩おくと、煮汁の部分がゼリー状になっていたりしますが、いわゆるこの「煮こごり」部分、コラーゲンを乾燥させたものが左画像のような膠になります。原料としては、動物、魚などの骨や皮などが用いられているそうです。

左画像、棒状のものが「三千本膠」です。
一貫目(量の単位)で約3000本とれるというところからこの名前になったとか。この1本を基準とした量が日本画の技法書では多くあります。一本当たり、約10g〜14gです。

白い袋と茶色い袋、鹿膠として売られているものです。

経験上、三千本膠単体で使うよりも混ぜて使うと腐りにくい性質となるため、混合して使います。ただし、作業によっては鹿膠が多くなりすぎると、扱いづらい場面もあり、作画に応じての濃度が求められます。膠を自分なりに使いこなし、混合する経験として二種類を混ぜてつかうことにします。

※ 参考リンクに他の種類の膠の紹介があります。
なお、瓶入りの膠は今回使いません。含まれる防腐剤のことも含め、絵の具は生物であるという感覚をつかんでもらいたいと思います。

 

14.

15.

16.

絵の具

水干

1箱

15g
程度

胡粉は今回の講座でもっとも重要な意味を持った絵の具です。
実際に塗ることの出来る絵の具にするのも各自で行いますが、その作業を通じて、プリミティブな絵の具との関係を見なおすことができれば、今日的な意味での古いメディアのあり方が体験出来るのではないかと思っています。

胡粉にもいろいろな種類、等級があります。それらは、きめの細かさなども含め、あきらかに使い勝手に関わって来ます。

袋、量り売りのものもあると思いますが、150g箱売りのものなどがお勧めです。値段の差は、それなりに意味があると思ってください。

水干黄土、水干朱土、水干代赭などそれぞれ、土が原料、酸化鉄です。少量でもかなり使い出があります、量り売りで各15g程度用意してください。10g単位での量り売りとなっている絵の具屋もあるそうです。その場合は10gでOKです。

なお、この他、水干絵の具はいろいろなものがあります。値段も安価な物が多いので、水干絵の具の使い方を学んだら、いろいろと試してみるとよいでしょう。

※胡粉の溶き方はいろいろと伝承があります。別項参照ください。

 

17.

18.

19.

棒絵具 


1本

いわゆる水絵の具と呼ばれるものです。顔彩、鉄鉢など、現在、絵手紙などで使われる絵の具、は顔料をアラビアゴムなどを混ぜて固めたもので、水を加えて絵の具として使いますが、この棒絵の具は、同じく顔料を蜜蝋などで棒状にして簡易に使えるようにしたものです。

顔料とは染料を芯材を加えてしみこませ絵の具としたものだそうです。水で溶いただけでは接着力は弱く、膠を加えて使います。

洋紅、本藍、藤黄(ガンボージ)臙脂など透明色として使うことで、厚塗りをせず、絵の表情、調子づけに使うことが出来ます。

ex:白緑+藤黄>木の葉の色

ex:藤黄+胡粉>菊の花びらなど

ex:胡粉+洋紅>紅梅など

ex:藤黄+本藍>緑+胡粉>草色

ex:地塗りに胡粉を用い、これらの透明色を使って貝殻裏の虹色面を描いたりします。

※皿に溶く解き方は、別項参照ください。

洋紅、臙脂はコチニール、貝殻虫の色素から作るそうです。最近では、化学合成で作られるレーキ顔料のものもあるようです。
藤黄はガンボージという樹脂を固めたものだそうです。西洋の透明水彩絵の具にも同名のものがあります。

 

20.

21.

天然岩絵の具

 


15g
程度

新岩絵の具と呼ばれる絵の具が売られ、天然絵の具に比べれば安価に使うことが出来ますが、講座ではあえて、天然絵の具に触れていただきたいと思います。使用量はごく僅かです。

15g程度と紹介していますが10gでもかまいません。

緑青は代表的な絵の具です。天然に産出される孔雀石(マラカイト)と呼ばれる銅の化合物だそうです。古くから使われる代表的な緑色です。

松葉緑青と呼ばれるものもあります。一番細かい粒子のものを白と呼び、白緑青を用意してください。
また、絵の具の粒子の大小が色相、明度を決めるという重要な要素を学び、透明感のある表現をするためにすこし粒子感のあるNo.11〜No.12程度のものも用意してください。

天然絵の具を使う意味は、塗るおりの感覚、触感、定着後の発色を覚えて欲しい為、また熱を加えて酸化させることで、色相、明度を変化させることが出来ることを知って欲しいためです。

※、絵の具の焼き方などは別項参照ください。

ちなみに、画像では瓶に入れていますが、かなりの量が入っています。10gというと、小さな袋に少しだけといったイメージになります。重い絵の具ほど、見た目の量は少なくなります。

 

22.

23.

その他重要な絵の具


15g
程度

朱、群青なども代表的な絵の具です。

赤い花が描きたいならば、朱も必要になりますね。また空のイメージ青、群青も必要になるかもわかりません。大変美しく、基本的な絵の具です。必要に応じて用意してください。

朱は、本朱など、様々なものがあります。水銀の化合物です。

天然群青もまず使うのは、白群青になると思います。より明度の高いものを淡口と呼ぶ場合もあります。原料は藍銅鉱(アズライト)、緑青と同じ鉱山から出る場合もあるそうです。

15g程度と紹介していますが10gでもかまいません。