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7/27//2015  ○Web吉備悠久

犬島 岡山市

■ 2001年(平成13年)9月16日(日曜日)山陽新聞掲載の吉備悠久は、岡山市に属する島、犬島でした。2015年の現在では、<ベネッセアートサイト直島>のサイトで紹介されているように、犬島も一体としてアートの島に生まれ変わっていますが、取材当時は、まだ手付かずのレンガ造りの廃墟が印象的な小さな島でした。
 
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 取材当日は、案内してくださる山陽新聞の担当記者の方と渡船の船着場で待ち合わせをしました。日差しの強い日だったことを思い出します。護岸から覗き込む海の色、太陽の光に反射する小魚の背が印象的でした。

 白波を立てながら舟が進むと、程なく島に到着。途中、トビウオらしき水面近くを飛ぶ存在を発見。風を感じ、じっと眺めている間のあっという間の時間。

 船着場から集落の間、植物の間を縫うように進み、お目当ての精錬所跡に向かうと、太陽を反射する白い大地の上にすくっと立ったこの煙突の姿でした。なんとも印象的、見上げた姿を海をバックにと思い、煙突裏側へと上り描いたのがこの絵です。

 この島が栄えた往時の記憶、モニュメント。
 題して「碑」です。

 
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 かつてを感じさせる姿。付近の散策は、楽しい時間でした。何処を見ても絵になる姿です。人の手によって作られたもの、存在が自然にかえって行く姿。

 レンガの色が空の雲に、そして海に、強い日差しを受けてコントラストを強めながらも大きな世界、一体となる時間です。

 
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島の南側には整備された海水浴場がありました。誰一人いない海。四国が近く見えます。振興策によって島を変えようとする動きがあると聞いていましたが、何も変わらない静かな島の様子でした。


 2013年春には、犬島アートプロジェクト「精錬所」と呼ばれていた場所は、犬島精錬所美術館に名称が変わり、カフェ、レストランも出来ました。整備が進み瀬戸内国際芸術祭で直島などと一体となったアート観光の一つのスポットになったことは、記憶に新しい出来事です。若いアーティストが初夏に行う「犬島時間」も恒例になりました。

 はたしてこの犬島が今後どんな時間を重ね、変貌を遂げていくのか?
 14年前の姿を思い出しつつ。
 
※ここで紹介している画像は、作家・紀田順一郎さんとの共著『吉備悠久』(山陽新聞社刊、2006)に収録されたものです。以下URLは、紀田順一郎さんの「 犬島(岡山市)」記事への直リンクです。 是非御覧ください。(URLをクリックすると、紀田順一郎さんのサイト記事が表示されます)
http://plus.harenet.ne.jp/~kida/topcontents/news/2015/072701/index.html