KW ELECTORNICS KW2000

日頃、周囲ではあまり目にしないヨーロッパ製の無線機
イギリス(UK) ロンドン生まれのHF6バンド SSB/CWトランシーバです
電源は外付けです(ACに加え、DC電源の用意もあります)
多分ですが、1964年発売の生産数の少ない初期モデルです
昔の安立とか日本電気を感じる色合いです

322Wx158Hx337D mm  約7Kg とコンパクトに納めてあります(筐体は熱くなりそう)
機器構成
極めてCollinsに似ています
周波数構成から、ケースの構造・素材・色合いからしても似通っています
国際電気製の455KHzメカニカル・フィルタ採用のフィルター方式、1stIF:2.955−3.155MHz すなわちVFOは、2.5−2.7MHzを発振します
1バンドの帯域幅は、200KHzです
結果、21.200−21.300MHz間、28.200−28.400MHz間は、標準ではカバーされません
終段は、6146シングル 入力90Wとなっています
受信は、2ndIF:455KHzの、いわゆるCollinsタイプのダブル・スーパー・ヘテロダイン、高1中2の構成です
このように構成的には、極めてオーソドックスなものです
Collinsとの大きな違いは、送受信に対応したクラリファイア機能(±6KHz)を内蔵しているくらい
22球(定電圧放電管を含む)とバラモジ用ダイオードで構成されています

この後、後継モデルとして登場する2000A、2000B、そして最終モデル2000Eへと続きます
構成する真空管の変更や、一部の半導体化など細かい改良は別にして
2000Aでは、塗装が濃いめのグレーに変更され、終段も6146パラとし、出力100Wに増力、MICジャックが俗にいう標準プラグに変更されています
2000Bでは、メインダイヤル横に羽が生えたデザインが採用されています
シリーズ最終モデルの2000Eでは、1バンドが500KHzに拡大されています
この明るい色合いの製品は、初期モデルだけとなります
1964年と言えば、東京オリンピック開催の年、DRAKE TR-4National NCX-5 の発売は、翌年1965年です
当時の広告では 173£  当時のレートは、1£≒1000円
大卒初任給が、2万数千円の時代です
 
KW ELECTRONICS その後
 
アメリカの HAMMARLUND にライセンス供与したと思われる HXQ-300 という広告があったようですが、実際に発売されたかどうかは?です(多分、発売されていない HAMMARLUND における、アマチュア無線向けのギアは、HQ-215が最後だったかと)
広告では、300WPEP/SSB、250W/CWとなっていますので、終段管はTV水平出力管に変更して出そうとしたようです
また、アメリカ SWAN社の SWAN350 を模したと思われる KW ATLANTA という製品の発売もあったようです(1971年ごろ ここでは、TV水平出力管を採用したと思われます)

G8KWによって1950年代に設立された当社ですが、1974年にはDECCAというMicro-wave/海洋レーダーのビジネスをしている社に買収され、そのDECCAは、1980年にRacalグループに買収されました
DECCA以降は、アマチュア無線分野にビジネスとしての興味を持たなかったようですが、当のG8KWは、1989年に引退するまで、サプライヤーとしてアマチュア無線関係のものを扱っていたようです

G8KW
1955年3月号QSTに掲載され、その後の短縮型ダイポールの代名詞ともなったトラップ・ダイポール W3DZZアンテナ ですが、そのアイディアは、このG8KWによって、第二次大戦中に発明されたようです、知らなかった!

リアパネルです
電源供給コネクターとRF関係コネクタは、少なくとも日本では一般的ではありません
Collins同様、ラックに差し込める構造です
本体をケースから取り出すと、こんな風になります
トリムリングがあって・・・collinsに似通っています
フロント側から見たシャーシ上面です
MICジャックは、オリジナルのDIN型ジャックを手配中
シャーシ上面です
ファイナル部の右横に取り付いているBOXは、VOXとマーカーが組み込まれています(VOXユニット)
見えているVCは、ドライブ/プリセレクタ
中央のデカい円柱が、メカニカル・フィルタ
VFOの発振管は、横向きに取り付いています
VOX、マーカーユニットは、このようにコネクタで接続されています
最後は、終段シールドカバー部で、固定します
VOX調整、あるいはマーカーの校正は背面から行うことができます
厄介な電源コネクタ形状
プラグの入手はあきらめて、端子に直接はんだ付けで別のコネクタに短いケーブルで接続し、そこに給電することを考えましょう

RFコネクタも???
調べると、Belling-Lee L734/Pがあれば良さそう
UKでは、F型接栓への変換コネクタなどあるようで、それなりに普及していそうですが、私の身の回りでは見かけない・・・
一般的なものに入れ替えかなぁ
シャーシ裏面です
見えているVCは、ファイナル・ロードVC
シャーシ裏面、RF部です
ファイナルは1本ですから、占めるスペースも小さい
段間は、きっちりシールドされ、シャフト類は、ベークライト製で、高周波的に絶縁してあります
シャーシ裏、もう一つのシールドされた場所です
平衡変調部、キャリア発振部です
上写真のシャーシ上面の様子です
中央がキャリア発振を担う 12AT7
その両横は、一見真空管に見えますが、クリスタルです
いずれもシールドケースを取り外して写しています
真空管の数が多い・・・見た目の中にクリスタルも含まれます
左手前に、国際電気MF-455-10CKの頭が見えます
VOXユニットに内臓されるマーカー
シールドケースを外して写しているのは、100KHzクリスタルです
こちらも、一見真空管に見えますね
真ん中に立っているL型金具が、メカニカル・フィルターの中央に立つシールド板です
国際メカフィルお馴染みの?緩衝材ベタベタ問題が生じていれば、洗浄で復帰しないとなると、分解してセラミックフィルタを組み入れるという改造が必要になりそうです

手前は、VFOの底部
メインダイヤル
VFO駆動は糸掛けで、フィーリングはスムーズです
メイン・ダイヤル7回転で、おおよそ100KHz・・・1回転当たり15KHz程度の展開です
仕様上は、ダイヤル読み取り精度は、2KHz以内とあります
無線機では珍しく、照明には E5 のランプが使われています(2個)
笠をかぶっている球は、OA2定電圧放電管です
終段部
BRIMAR製 6146 シングルです
160mバンドにも対応ですので、タンクコイルは2分割で使ってあります

使用されている真空管ですが、イギリス・メーカーのものばかり
具体的には、BRIMAR製、Mullard製、Zaerix製がほとんどです
左回りに、バンドが高いほうに動く・・・
日頃のイメージとは異なって、戸惑います
余談ですが、
Hallicrafters FPM-300 も同様です
まずは、中途半端に(パネルに固定されていない状態の)通信用ジャックに交換されていたMICジャックの交換から
DIN3Pジャックを入手して取り付けました
そこで気付いたことですが、プラグを差し込まないと、マイクアンプ初段が動作しない・・・カソードの配線をマイクプラグを差し込むことでグランドに落とさないといけない構造がとられています
単純にマイク、PTTの配線をしただけでは、送話できません
なぜこのような構造にしたのかは?です
後継モデルは、一般的な通信用プラグジャックの採用で、このような構造は持ちません

通電には至っていません
電源は、FP-200、PS-511など所有していますので、これらの中から流用を考えます
to be continued
2024.06  JA4FUQ

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