酒井抱一筆 「犬画賛」・模写体験
画像は、倉敷芸術科学大学での実習の様子です。ほぼ原寸大の資料画像を基に、墨線描きを行うための形、太さ等を拾って下図を作成しているところです。残念ながら岡山で学ぶ方々はこの段階で実物を見たことはなく、目の前にある画像が情報の全てです。生涯学習大学校の生徒さん方々は制作前に実物閲覧の機会を作る事が出来ました。
岡山からバスを仕立てて集まった方々、新幹線で現地集合の方々、自家用車で駆けつけた方々(山陽新聞社カルチャー日本画(森山)教室・倉敷芸術科学大学日本画専攻有志、日本画研究会、知の会)、そして姫路市立生涯学習大学校の生徒の方々、約50名が集まりました。予想以上の集まり具合で、少々慌てたというのが正直なところです。姫路市立美術館館長の岸野裕人さんから竹内栖鳳展の見どころを聞いているところです。
岡山からの生徒は、実際に行った模写を持参しました。それぞれグループも違い、これだけの数を一度に見るのは、皆さん初めてです。墨の使い方、暈し具合、描写について、それぞれが行ったからこそ他の方の取り組みについて、また実物から見えてくるコト、学ぶことがあったようです。「墨の色、発色」「片暈し」「筆、堀塗り」、技術、要素の数々、キーと成る言葉とともに同じ画像からいかに実作を読み取ったかが具体的になります。これだけ集まると、なかなか壮観な姿です。絹枠張りのまま、裏打ちパネル張り、仮張りの状態もありましたが、全ては経験者の皆さん、いろいろと参考になったと思われます。「もう一度、描こう!」なんて言葉も聞くことが出来ました。本物を間近に見ながら自作を比べる体験。参加したそれぞれ何事にもました経験となったはずです。
画像は本物見学の様子です。一人一人、じっくりと、資料と比較対照しながら見ることが出来ました。振り返りつつ模写作品と比べている方もいらっしゃいます。酒井抱一が描いた筆、筆意を学ぶこと。手がかりは水の性質、「水の時間」、抱一の描いた筆の動き、水の含ませ方、暈し方、全てこれまで学んできた水の性質が手がかりとなるのです。いかに「時間」を捉えることが出来たか?酒井抱一に「倣う」ことができていれば幸いです。姫路市立美術館の御厚意に感謝です。参加された皆さん、お疲れ様でした。このあと、生誕150年記念 竹内栖鳳展を皆で拝見しました。絵の具、墨、筆使い、それぞれが手に入れた「言葉」を手がかりにじっくりと鑑賞していました。http://plus.harenet.ne.jp/~tomoki/topcontents/news/2015/021401/index.html
Copyright (C) Moriyama Tomoki All Rights Reserved. このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。
※(文化財保存を目指すような模写ではなく、この国の絵画における価値観を実際に描いて試す、酒井抱一に「倣ってみよう」という学びを目的とした模写です)