スタッフ日記・見ごろの生き物

2015年度

過去の日記
20062007200820092010201120122013/ 2014


3月

2016/3/26 「園内の小さな春」



 園内では、オオイヌノフグリ、タネツケバナ、ミズバショウ等が少しずつ咲き始めていますが、お彼岸を過ぎて連日、朝晩がかなり冷え込んでいます。地元の長老によると、「彼岸過ぎて七雪」といって、「お彼岸の後、7回は雪が降る」と言うそうですが、すでに4日連続で雪がちらつく日が続いています。こんなに寒いので、まだヒキガエルは産卵をしないはず、と余裕でかまえていたら、いつの間にか長い長いうどんのような卵を、すでにいつもの水溜りに産んでいました。水溜りには、遅めの産卵にやってきた、最後の1ペアを確認。今年のヒキ合戦(繁殖の為のヒキガエルの大集合)は見逃してしまいました。

2016/3/8 「ノウサギのフィールドサイン」



 例年だと、今ぐらいは林内に残雪が残っているのですが、今年は暖冬だったので、散策道の雪はほぼとけてしまいました。森の芽吹きはまだまだ先、5月に入ってからですが、鳥たちはいっせいに繁殖モード。暖かい日の森の中は、それぞれにさえずる小鳥たちで、かなり騒がしくなりました。ふと足元を見ると、ノウサギの真新しいフンが落ちていました。そっと割って匂ってみると、爽やかな笹の葉の匂いがします。フンから数メートル離れたところに、今度はノウサギの毛の塊が、いくつか落ちていました。朝露に濡れていないところを見ると、これも落ちて新しい毛のようです。フンをしたノウサギが、捕食者につかまってしまったのでしょうか。周囲を観察してみましたが、これ以上の情報は見つけることができませんでした。この時期は、時々ウサギが捕食された痕を見かけます。


2月

2016/2/26 「1年中見られる鳥」



 ギャーギャ―とけたたましく鳴くカケス(写真上)や、尾羽を上下させる後姿がかわいいモズ(写真下)は、津黒周辺では一年中見ることができます。他にも、雑木林内ではシジュウカラ類やキツツキ類、水辺では、カワガラスやミソサザイ、民家近くでは、ヒヨドリやスズメ等、渡りをしない鳥たちが見られます。1年中見る事ができる為、彼らの行動や鳴き方の変化が、季節の変化を教えてくれます。2月に入ってからすでに、キツツキのドラミング(縄張りの主張や求愛の為、高速で木を打ち、ドロロロロ…と音を出す)が始まっています。また、シジュウカラも、今年は早くからさえずりを始め、すでに巣箱に出入りをしています。春のはじまりを感じます。

2016/2/7 「スノーシューで冬の生き物観察」



 前日までは、暖冬の為地表が見えるほどに雪が融けていましたが、夜からイベント開始直前まで降っていた雪がたっぷり積もり、思いがけず新雪の上を散策する事ができました。キツツキが木をつついてエサを食べた痕、ノウサギの糞、雪の下のキノコ、雪上で活動するカワゲラやタマバチの仲間などの昆虫を観察しました。上の写真は、タマバチの仲間かな?雪の上を歩いていました。


1月

2016/1/23 「雪遊びとかまくら作り」



 1週間前にはまったく雪が無かったのが嘘のようです。この日の積雪は、45cm程度。例年に比べると、少なめの雪ですが、昨日降ったばかりの綺麗な雪で、たっぷり遊ぶことができました。雪のネイチャービンゴ、大きなかまくら作り、ソリ遊びなどをしました。

2016/1/21 「足跡が楽しい季節」



 今日は積雪40cmほど。一昨日からの吹雪も収まり、今朝はよく晴れていたので、動物の足跡を探しに行きました。ウサギ、テン、タヌキ、キツネ等の中型の動物の足跡は、新雪がいったんしまった後のほうが、観察しやすいのですが、ネズミ類やリス、小鳥等の小さな生き物の足跡は、夜に積もったサラサラの新雪が数センチある、朝が観察しやすいと思います。日が昇り、小動物たちが活動を始めて数時間後(今の時期なら朝7時半ぐらいから)、陽があたって表面の雪がとけるか、雪が降って足跡を隠してしまう前までの午前中の間。この時間が、小さな足跡を見つける一番いい時間帯だと思います。ちなみに、上の足跡はテン。下の足跡は、二ホンリス。とても新しい足跡でした。

2016/1/18 「今年初の積雪」

 今朝は4cmほど積雪がありましたが、雪が冷たい雨に代わり、みるみるうちにシャーベット状になってしまいました。明日からは寒波がくるそうなので、23日の「雪遊びとかまくら作り」(参加者募集中)までに、まとまった積雪ができれば良いのですが。地域のお年寄りに伺いましたが、みなさん、こんなに雪が無いのは初めてとの事。蒜山の各スキー場も、週末にはオープンになるかもしれません。


12月

2015/12/28 「雪がなかなか積もりません」



 家の中に越冬の為侵入してくるカメムシが少なかったり、カマキリの卵を産む高さが低かったりすると、その年は暖冬で雪が少ないと言われていいますが、今年は生き物の予報が本当に当たり、ご覧のとおり、まったく雪が積もっていません。例年だと積雪のある津黒ですが、まだ薄氷が張る程度。雪国に住んでいると、雪かきや雪道の運転の心配が減って、雪が少ない年は暮らしやすいように感じますが、その一方で、来年は水不足になるのではないかと、心配の声も多いです。冬の雪は、田植えの時期の豊富な水になると言われています。

2015/12/09 「冬の朝のようす」



 12月に入り、朝は霜が降りる事が多くなりました。そんな日は、しゃがんで足元の植物を観察すると、朝露がまるく凍っていて、とても綺麗です。陽の光があたると、みるみるうちに水滴になって、ぽとりと地面に落ちていきます。今日の時点で、今シーズンは2度、うっすら雪が積もりましたが、まだ根雪になるような積雪はありません。暖冬と言われていますが、根雪になるのはいつになるでしょうか。


11月

2015/11/21 「山のハーブ・クロモジでお茶会」



 クロモジでお茶会をしよう!という事で、まず、用途や効能などを簡単に学んだあと、野外へ出てクロモジを実際に見分け、採集しました。クロモジの枝は、各自ナイフで削って爪楊枝に。採れたての木は、削ると柑橘系の良い香りがしました。お茶は、10月にあらかじめ採集し、乾燥させていた枝葉を細かく切り、お茶として煮出しやすいサイズにしていきました。これを20分ほど煮出すと、香り高いお茶になります。今日は、このお茶と一緒に、クロモジ風味の葛餅や落合の羊羹、参加者の差し入れのケーキやゴーヤの砂糖漬けなどをチマキザサの上に並べ、作った爪楊枝を早速使っていただきました。

2015/11/9 「紅葉のようす」



 園内とその周辺の紅葉の様子です。見頃を少し過ぎた、下り坂にはいるこの時期は、一年のうちでもたった数日ですが、とても綺麗です。黄色く色づくコナラが多い場所なので、葉が若干枯れかけたこの時、山の色に深みが増し、見慣れた景色が、見とれる景色になります。


10月

2015/10/19 「炭焼きが今年も始まっています」



 今年も毎年恒例の炭焼きが始まっています。当施設では、BBQ場でお出しする為の炭を、秋に2窯焼きます。園内に生えるコナラ(写真下はコナラのドングリ。今がちょうど拾い時です)やリョウブ、クリの木を焼いて炭を作ります。外国産のマングローブ等の炭より、火力が強く、長持ちするだけでなく、地産地消の為、輸送にかかるCO2も削減できます。また、園内に生える木が一部伐採される事により、林床に光がよく届くようになり、切り株から萌芽再生し、落ちたドングリから芽が出た時、新しい木が育ちやすくなります。そうして育った木は、30年ほどすれば、また炭焼きに適した大きさになっているでしょう。炭焼きは、昔から伝えられている古い技術ですが、持続可能な新しい社会に必要な技術かもしれません。炭焼きの技術を知る人が減っていく中、当施設ではその技術を伝えていく場所でもあります。11月にもう1窯焼きますので、ご興味のある方はお問合せください。自由にご見学いただけますし、体験したい方も大歓迎です。

2015/10/4 「秋を知らせる虫たち」



 コオロギやキリギリスなど、秋の虫たちが草むらで盛んに鳴いていますが、鳴かない虫たちも、秋の訪れを告げています。真っ赤になった、ナツアカネなどの赤トンボの仲間たちや、冬に向けて暖かい南へ渡る途中のアサギマダラ等、天気の良い日は、園内の「オタカラコウの湿原」でよく見かけます。ぼんやり眺めていると、割と近くまで寄ってきてくれます。


9月

2015/9/19 「土壁職人と土遊び!」



 土壁職人の佐治三津弘さんをお迎えして、土遊びを体験しました。土台の泥団子に、色を付けた漆喰か、津黒の土と漆喰の混ぜたものを塗り、磨いていくと、ピカピカの泥団子の出来上がり。下の写真は、津黒の土と漆喰で磨いたほうの玉です。景色が少し反射して見えています。材料に使った津黒の土は、炭焼き窯のふたをするのにも使われます。それがまさかこんなにピカピカになるとは、驚きです。昔のお金持ちの土壁には、このようなピカピカのタイプのものもあったそうです。それは、水や汚れをはじく高級な壁だったそうです。


8月

2015/8/31 「ハチクマが飛んでいました」

 ハチクマが2羽、津黒の森のずっと高い所を旋回しながら、鳴いていました。日本で子育てを終えて、これから大陸経由で東南アジアへ向かう途中だと思われます。これから秋にかけて、津黒でも時々見かけます。「ピ〜ヒョロ ピ〜ヒョロ」と、トビが鳴きそこなったような声で鳴きます。この声を聞くと、夏も終わりです。

2015/8/23 「モリアオガエルの上陸」



 6月のはじめ前後に産卵をしていたモリアオガエル。オタマジャクシには手足が生え、続々と池から姿を消しています。森の中で、まだ尻尾の名残のある幼体を見つける事があります。大人になれるのは一握り。がんばって生きていってほしい!

2015/8/8 「川の漁業体験」



 冷たい清流の中で、大人は投網体験、子供たちは川で生き物探しをしました。講師は、地元の川の漁業に詳しい皆さん。まず、芝生の上で投網の練習をした後、川で実際に網をうちました。はじめはあまり広がらなかった投網も、だんだんとまるく広がるようになり・・・ニゴイの仲間、アユ4匹、大きなカワムツ等が捕れました!そのあいだ、子供たちは川の生き物探し。このあたりでは珍しいヌマチチブ等を観察しました。


7月

2015/7/25 「夜の川の生き物観察」

 トビケラ、カゲロウ、タカハヤ、サワガニ、トノサマガエル等の小さな生き物から、それらを食べるオオサンショウウオまで、川に棲む色々な生き物を観察しました。昼間の観察とは違い、夜行性の生き物や、日中は水面の光の反射でよく見えない生き物が見られました。オオサンショウウオは2頭発見!真庭ハンザキ調査団の調査員が、オオサンショウウオに専用の機械をかざすと、マイクロチップに登録された番号が出てきました。以前、捕獲し、チップを挿入していた個体でした!元気に暮らしているようで、ほっとしました。

2015/7/15 「ネジバナが可愛らしい花をつけています」

 ラン科の植物、ネジバナです。文字通り、ねじれています。小さな3〜4mmぐらいの花を咲かせます。よーく見ると、確かにランの花!芝生広場に生えていますので、探してみてください。右巻き、左巻き、どちらもあります。


6月

2015/6/21 「ササユリが見頃」

 津黒いきものふれあいの里のある、旧中和村(現:真庭市蒜山)の村の花です。園内にはところどころにぽつぽつとありますが、津黒高原荘へ向かう途中の斜面には、数十株が群生しており、見ごたえがあります。保護されている場所ですので、トラロープが張ってあるのが目印です。以前はたくさん自生していたそうですが、里山の自然の利用(草刈りや薪炭備林等)が少なくなった今では、ササユリの自生できる明るい森や草地が少なくなり、そのうえに盗掘が後を絶たず、今ではあまり見かけなくなりました。津黒周辺では、現在様々な里山整備の活動が行われております。それらの活動で、以前のような明るい森ができ、花を楽しむ人々のマナーが向上する事により、また、地域を代表する花と呼べるように回復すれば良いなと思います。

2015/6/4 「モリアオガエルの産卵」

 今年もモリアオガエルの産卵の季節になりました。今年は例年より1週間〜10日程度産卵のはじまりが早く、すでに産卵の最盛期を迎えています。産卵は通常、雨上がり、もしくは小雨の夜から明け方にかけてが盛んです。園内のトンボ池だけでも、今朝の時点で35個の卵塊を確認しました。1組、まだ産んでいるカップルを発見したので、そーっと撮影させてもらいました。このあたりでは、田んぼの畦でも普通に産卵する為、田んぼの周りに白い塊が点々とついているのをよく見かけます。6月14日(日)は、「モリアオガエルとその仲間たち」というイベントを開催予定です。今年は産卵が早かったので、オタマジャクシになったモリアオガエルに会えるかもしれません。詳しくは、コチラから。


5月

2015/5/23 「サクラソウの自生地にて」



 蒜山の自生地にて、毎年恒例のサクラソウの観察会を重井薬用植物園と共催で行い、主に県内から50名以上の方に、ご参加いただきました。サクラソウは、日当たりの良い草原の水辺に咲き、かつては「そこらじゅうがピンクだった」と言われるほどの自生地が、蒜山にはあったそうです。しかし、サクラソウが自生できる草原を維持していた山焼きや草刈りなどの活動が、ライフスタイルの変化や地域の高齢化で、以前より盛んでなくなってきた為、今では自生する場所はわずかです。このような現状をふまえ、津黒いきものふれあいの里と重井薬用植物園では、サクラソウの自生地を守る為の活動を行っています。6月28日(日)には、このサクラソウ自生地で、保全の為の草刈りを行う予定です。皆様のお力をぜひお貸しください。詳しくは、コチラから。

2015/5/13 「サワオグルマが見ごろです」



 新緑のまぶしい季節になりました。湿地では、サワオグルマが見ごろです。園内でも、カッコウ、キビタキ、オオルリ等の夏鳥の声をさかんに聞くようになりました。無料の散策道マップがささゆり館にございますので、散策道を歩く場合は、ご利用ください。

2015/5/01 「アナグマが来園しました」



 昼間からごそごそ・・・と、エサを探しながら園内をアナグマが歩いているのを発見しました。後ろからついて歩いても、気にしていないのか、気づいていないのか、慌てた様子はありません。しばらく芝生の広場を歩いたあと、散策道のある森のほうへと消えていきました。


4月

2015/4/30 「見頃のピンクのお花」



 ピンク〜紫のお花が見ごろです。サクラソウ(写真上)、オオイワカガミ(写真下)の他にも、カキドオシ、サギゴケ、トキワイカリソウ、スミレなどを楽しむことができます。5月23日(土)には、蒜山のサクラソウ自生地での観察会「サクラソウと蒜山の春」が予定されています。ぜひお越しください。

2015/4/18 「桜が満開」



 園内のサクラが満開になりました。ソメイヨシノは少し散りかけ。しだれ桜とオオヤマザクラは8分咲き。来週半ばぐらいまで、お花見ができると良いのですが・・・。足元を見ると、ツチハンミョウの仲間がごそごそ歩いていました。メタリックな緑がかった黒色の体で、ものすごく太ったアリのような形です。この時期よく見かけますが、毒を持った昆虫ですので、触らないように。小さな翅(はね)に大きな大きなお腹。飛ぶことはできないので、見つけたらひたすら追いかけて観察しましょう。

2015/4/9 「春の花が咲き始めました」



 昨日は雪、今朝は霜が降りました。暖かい日と寒い日を繰り返しながら、徐々に春になっていっています。3月15日にささゆり館が冬季休館を明けてから、しばらく、「見頃ですよ」とご案内できる花は、ミズバショウのみでしたが、待ちに待った、春のお花が次々と咲き始めました。木に咲くお花ですと、キブシ(写真上)、アセビ、ヒサカキ、ミツマタの花が見ごろです。また、森の中に咲く花では、ミヤマカタバミ、キクザキイチゲ(写真下)、コチャルメルソウ。日当たりの良い場所には、タチツボスミレ、アオイスミレ、オオイヌノフグリ、タネツケバナ、オキナグサなどが咲き始めました。