あえて薄い和紙を使うことで、そのことが持つ意味について学びます。
薄く丈夫な和紙素材は柔軟性を持ちます。絵巻物、軸装というコンパクトな収納はこの柔軟性により可能でした。また薄く、透けると言うメリットは、下書きを透かして描くことが出来、描く線の洗練など、価値観を育てる働きがあったと思われます。
紙の加工についても学びます。
滲み止めであるドーサを自分自身で引くことにより、絵の具の安定な定着について知り、自身が制作に使うことの出来る材料に広がりを持たせます。
絹本との比較、地塗りなどを通じてそれぞれの特質、意味について触れます。
和紙は基本的に繊維の縮み易い方向を上下として使います。保存のおり、折り畳まれていた状態の中側が基本的に表面となります。これらは和紙の製法と関係しています。また上下の考え方も軸、巻子といった表具を基本としての価値観です。
2枚のうち、1枚は本紙とし、もう1枚は裏打ち紙として使用します。
裏打ちでは本紙と紙の方向性を交差して用いることで、強度アップに繋げます。
墨により描いた骨描きが裏打ちの過程をへることでコントラストを増し、また平面となることで、版画を作るときのような新鮮な体験を得られ、線のあり方、墨の使い方などを考えるきっかけとします。
ちなみに本紙のすぐ裏にする裏打ちを「肌裏」と言います。
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